明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

移民の急激な受入れ、反民主主義体制のままではEUは瓦解の危機に直面する

安部 悦生 安部 悦生 明治大学 名誉教授(元経営学部教授)

ブレグジットが示唆するEUの変革

 2017年には、3月にオランダ、9月にドイツで国政選挙、5月にフランスで大統領選挙があります。どの国でも反EUの組織が台頭しており、選挙結果がどうなるかはわかりません。特に、オランダの選挙結果は重要です。反EU派が勝ち、国民投票が行われてEU離脱が選択されるような事態になると、その影響は非常に大きいものがあります。イギリスとオランダは精神的、経済的に非常に近い関係で、もしオランダがEUを離脱した場合、結びつきはより強まるでしょう。この2ヵ国がEUの外でうまくやっていく様子をみれば、EUからのドミノ離脱が起きかねず、そうなればEUが瓦解する可能性もあります。

 ブレグジットの要因を考えることが、EUがすべき変革のヒントになると思います。まず、移民の受け入れは急激に行わず、ステップ・バイ・ステップでゆっくりと行うことです。労働力の移動の自由は理念として掲げ、実際には移民の受け入れに上限を設け、それを人口の0.2%ぐらいにすることが良いと考えます。イギリスならば年間12~13万人、ドイツなら15~16万人となります。それくらいであれば許容範囲でしょう。東欧も域外移民の受け入れを容認しやすくなると思います。移民する側にとっても、一国に集中せず、住民とのトラブルが減ることになれば定住しやすくなるのではないでしょうか。また、EUがここまで拡大した以上、加盟各国が納得する民主的な組織を再構築することが喫緊の課題でしょう。

>>英語版はこちら(English)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

国際の関連記事

中華世界の拡大は、実は、理に適っていた!?

2022.11.25

中華世界の拡大は、実は、理に適っていた!?

  • 明治大学 法学部 准教授
  • 西川 和孝
差別、格差、貧困の問題と、環境の問題は繋がっている

2022.11.16

差別、格差、貧困の問題と、環境の問題は繋がっている

  • 明治大学 文学部 教授
  • 寺田 良一
ウクライナ侵攻で考える、ロシアの文化とは?

2022.7.20

ウクライナ侵攻で考える、ロシアの文化とは?

  • 明治大学 文学部 専任講師
  • 伊藤 愉
日本型イノベーションは日本的両利きリーダーから生まれる

2022.6.15

日本型イノベーションは日本的両利きリーダーから生まれる

  • 明治大学 商学部 専任講師
  • 鈴木 仁里
「タイ的自由主義」がわかると、日本人もタイ人が好きになる

2022.2.25

「タイ的自由主義」がわかると、日本人もタイ人が好きになる

  • 明治大学 国際連携機構 特任准教授
  • タンシリトンチャイ ウィライラック

新着記事

2022.11.29

行き詰ったら、「知の総合化」で解決しよう

2022.11.25

中華世界の拡大は、実は、理に適っていた!?

2022.11.22

好奇心を尊重し、長い目で見て、人を育てよう

2022.11.18

「タンパク質は面白い」という好奇心が、がん退治にも繋がる!?

2022.11.17

環境共生などの社会的責任を自覚して働こう

人気記事ランキング

1

2022.11.18

「タンパク質は面白い」という好奇心が、がん退治にも繋がる!?

2

2022.11.25

中華世界の拡大は、実は、理に適っていた!?

3

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

4

2020.11.04

私たちの身近にある熱エネルギーには多様な可能性がある

5

2019.11.08

#1 日本のアニメはいつから世界で人気になったの?

連載記事