明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

NAFTAの経験から何を学ぶのか、TPPへの示唆

明治大学 商学部 准教授  所 康弘

私たちがNAFTAから学ぶべきこと

所 康弘 日本はメキシコほど経済力が劣っているわけではないので、NAFTA下のメキシコに起こったことが必ずしも日本に起こるわけはなく、参考にはならないと多くの人が思うかもしれません。しかし、もっと複眼的な視点で考察することの重要性を、メキシコの事例は示してくれています。TPPに参加するメキシコよりさらに経済力や政治力に劣った加盟国(南米や東南アジアの途上諸国)の経済社会に与えるであろう影響についても、配慮すべきでしょう。

 そもそもTPPとNAFTAでは制度面で類似点が見られます。両協定とも直接的な関税および非関税障壁の撤廃にとどまらず、投資、サービス、知的財産権、政府調達、紛争解決手続きなど広範囲に渡る、まさしく「WTOプラス」とも言える包括的枠組みとなっています。関税撤廃に関する基準も両協定ともに高水準が求められます。そして、NAFTAと同様、TPPのルール作りと交渉もアメリカ政府と同国の特定分野の多国籍企業主導によって進められてきました。将来的にはこのアメリカ流の通商ルールの適用範囲を地理的に拡大させる狙いもあります。製造業のみならず、特に知的財産権の交渉では製薬会社やアグリビジネスなどの利益や便宜を最大化することも図られています。薬の特許保護の強化は、安価な後発医薬品生産の阻害要因となり、途上諸国の人々にとっては健康問題に直結する問題です。また、アメリカの強力な銀行・保険企業はおそらくTPP加盟国に対しても、積極的な進出を進めるでしょう。

国際の関連記事

フランス人はなぜデモを続けるのか

2019.7.17

フランス人はなぜデモを続けるのか

  • 明治大学 経営学部 教授
  • 川竹 英克
社会凝集力は偏見も生む。自分をもっと自由に解放してみよう!!

2019.6.19

社会凝集力は偏見も生む。自分をもっと自由に解放してみよう!!

  • 明治大学 政治経済学部 教授
  • 鍾 家新
外国人労働者受け入れ拡大の成功には教育の力が必要!!

2019.3.20

外国人労働者受け入れ拡大の成功には教育の力が必要!!

  • 明治大学 国際日本学部 特任教授
  • 佐藤 郡衛
東京2020ボランティアに秘められたメッセージ

2019.3.6

東京2020ボランティアに秘められたメッセージ

  • 明治大学 政治経済学部 教授
  • 後藤 光将
グローバル化は人を自由にする?アイデンティティを脅かす?

2019.2.6

グローバル化は人を自由にする?アイデンティティを脅かす?

  • 明治大学 経営学部 准教授
  • 折方 のぞみ

Meiji.netとは

新聞広告連動企画

新着記事

2019.07.17

フランス人はなぜデモを続けるのか

2019.07.10

男か女かハッキリしたがる/させたがる不思議

2019.07.03

遺伝子組み換えが怖いのは、目先の利益で行っていること

2019.06.26

人から、メタボやアレルギー性疾患がなくなる!?

2019.06.19

社会凝集力は偏見も生む。自分をもっと自由に解放してみよう!!

人気記事ランキング

1

2019.07.10

男か女かハッキリしたがる/させたがる不思議

2

2014.09.01

緊急提言、人口減少社会に歯止めをかける ―方策は少子化対策、社会…

3

2018.05.23

衰える結婚、止まらぬ無子化 ――このままでは日本の未来が失われる

4

2019.07.17

フランス人はなぜデモを続けるのか

5

2019.04.24

子どもに会うための共同親権制度では本末転倒

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム