明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

「東芝の不正会計」からガバナンスを再考する

明治大学 経営学部 教授 小俣 光文

信頼の喪失とブランドイメージの毀損は大ダメージ

 今回の不正によって、東芝は非常に大きなダメージを負いました。まず、金融庁からは有価証券報告書に虚偽記載をしたことにより73億7350万円の課徴金の納付命令が出されこれを納付しています。監査法人には過年度決算訂正に係わる監査費用として20億7152万円の支払いが発生しています。さらに、株主からも株価下落による損害賠償訴訟を起こされています。業績も落ち込み、2016年3月期は売上高6.2兆円に減少し、純損失は過去最大となる7100億円となり、その結果、自己資本比率は2.6%に落ち込む見通しです。さらに、のれんの減損損失を計上していないという問題もあります。東芝は、2006年に買収したアメリカの原発会社ウェスチングハウスの業績が当初の見通しを大幅に下回っているにもかかわらず、のれんの減損損失は計上していません。このウェスチングハウスの減損処理も考慮すればいつ債務超過になってもおかしくない状況です。

 また、東京証券取引所や名古屋証券取引所からは上場違約金の支払いが求められました。違約金の金額自体はそれほどではありませんが、資本市場の信頼を揺るがした影響は非常に大きいといえます。現在、特設注意市場銘柄に指定されており、指定解除となるのは9月以降ですが、そのとき、有効な増資が可能となるかは、毀損したブランドイメージと信頼を取戻せるかにかかっています。

ビジネスの関連記事

株式投資は「愛ある金融」に変わり始めている

2019.2.27

株式投資は「愛ある金融」に変わり始めている

  • 明治大学 商学部 教授
  • 三和 裕美子
パリ・コレに見る、「一流ブランド」の真価

2018.11.28

パリ・コレに見る、「一流ブランド」の真価

  • 明治大学 商学部 特任講師
  • 東野 香代子
日本の企業は“内なるグローバル化”によって生き残る

2018.4.25

日本の企業は“内なるグローバル化”によって生き残る

  • 明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授
  • 首藤 明敏
正規・非正規の格差是正と「同一労働同一賃金」

2018.4.11

正規・非正規の格差是正と「同一労働同一賃金」

  • 明治大学 法学部 教授
  • 小西 康之
働く高齢者の満足度を上げるための秘策あり

2018.2.14

働く高齢者の満足度を上げるための秘策あり

  • 明治大学 政治経済学部 教授
  • 永野 仁

Meiji.netとは

新聞広告連動企画

新着記事

2019.07.17

フランス人はなぜデモを続けるのか

2019.07.10

男か女かハッキリしたがる/させたがる不思議

2019.07.03

遺伝子組み換えが怖いのは、目先の利益で行っていること

2019.06.26

人から、メタボやアレルギー性疾患がなくなる!?

2019.06.19

社会凝集力は偏見も生む。自分をもっと自由に解放してみよう!!

人気記事ランキング

1

2019.07.10

男か女かハッキリしたがる/させたがる不思議

2

2014.09.01

緊急提言、人口減少社会に歯止めをかける ―方策は少子化対策、社会…

3

2018.05.23

衰える結婚、止まらぬ無子化 ――このままでは日本の未来が失われる

4

2019.04.24

子どもに会うための共同親権制度では本末転倒

5

2019.07.17

フランス人はなぜデモを続けるのか

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム