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アベノミクスと地方創生の中核企業 ―企業遺伝子経営のススメ―

吉村 孝司 吉村 孝司 明治大学 専門職大学院 会計専門職研究科長 教授

有力企業の6割は「遺伝子がある」

企業遺伝子の存在グラフ ――企業の遺伝子というのは、どのようなものですか?

企業遺伝子というのは、詳しい分析と論理プロセスは省きますが、個々の企業が保有していて、企業のすべての従業員の価値基準や、思考基盤、行動指針として継承されているものと定義づけています。これが正の行動、プラスの経営行動として、例えばイノベーションや戦略的経営行動などがとれているか。また、マイナスの経営行動として、企業不祥事とか不正行動の動因、要因になるのではないかと捉えたわけです。
理屈やイメージで「企業遺伝子とはこういうもの」と言うだけでは説得力がないので、アンケートを実施しました。対象は、まず日経225、つまり東京証券取引所市場第1部に上場する企業のうち日経平均株価を構成する225社。日本を代表する有力企業です。その中には創業から100年前後(プラスマイナス10年)の会社が149社ありこれを「100年企業」、その他の76社を「日経225企業」とします。加えて、株式会社帝国データバンクが定義する「老舗企業」から選んだ128社。創業100年をゆうに超す企業ばかり、ここにもアンケートを行いました。
トータル353社のうち17%の60社から回答をいただきましたが、端的に言うと、「(貴社に)企業遺伝子というものがありますか?」という質問には、「ある」と明確に答えたところが43%、「どちらかと言うとある」と答えたのが19%で、全体の62%が何かしら企業遺伝子が”ある”というポジティブな回答になりました。「ない」とか、「どちらかと言うとない」というのは合わせて8%です。21%は「どちらとも言えない」でしたがハッキリとした結果になり、仮説が成り立つと考えました。(グラフ参照)

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