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BOPビジネスが、日本を救う ―グローバル・マーケティングからの提言―

明治大学 経営学部 教授 大石 芳裕

日本企業の「BOPビジネス」

 「ヤマハ発動機」という会社がある。ここはアフリカの国に船外機(モーター)を販売している。それまで現地の人たちは、手こぎ船で漁を行っていた。船外機を付けることで機動的な漁が可能になり、漁獲高は増え貧困からの脱却も可能になる。同社は単に船外機を販売しただけではない。漁法を教え、船外機のメンテナンスのための人材教育などを無料で行っている。同社の製品より低価格の船外機も市場にはあるが、製品の品質の高さに加え、各種サポートに対する現地からの信頼は高く、多くの人に支持されている。
「住友化学」が取り組んだのは、蚊が媒介する感染症である“マラリア”への対策である。薬剤を徐々に表面に染みださせる自社技術を応用して、防虫剤処理蚊帳「オリセットネット」を開発、アフリカを中心に80ヶ国以上に提供している。さらにアフリカ・タンザニアに工場を建設し生産、現地雇用も生み出した。
「雪国まいたけ」は主力商品の一つであるもやしの種となる緑豆は、従来、中国から輸入していたが、バングラデシュの貧困にあえぐ農村の窮状を見て、バングラデシュからの輸入に切り替えた。グラミン銀行と提携しマイクロファイナンスを提供するだけでなく、緑豆の栽培法や選別法などを指導、現地の人の自立をサポートしている。
「N-Wave」というソフトウェア開発の中小企業は、バングラデシュの首都・ダッカの交通問題解決のために「S-PASS」というSUICA・PASMOのような前払い式バスカードを提供している。S-PASSはバスの乗降を簡素化しただけでなく、バスのチケット販売に関わる不正をなくしバス会社の収益を向上させ、200人超の雇用を生み出している。
「日本ポリグル」の“魔法の粉「PGα21Ca」”も大きな注目を集めた。途上国の大きな問題の一つに、衛生環境の不備による下痢疾患がある。同社は納豆菌から開発した水質浄化剤「PGα21Ca」を開発、汚れた水を浄化し飲料水に変えることを可能とした。安全な水を提供するとともに、現地の人々に販売を手伝ってもらうことで雇用を生み出し、貧困の撲滅を目指している。

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