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ブランド価値の向上が日本企業の課題

明治大学 経営学部 教授 原田 将

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近年、ブランド価値の向上を経営の中心とするブランド価値経営にますます関心が高まっています。しかしながら、日本企業のブランド価値は、世界的に見ると低いままです。グローバル競争が激化する現代、ブランド価値を向上させることは日本企業の大きな課題になっています。

1980年代に注目されたブランドの価値

原田 将 ブランドというと、多くの人が、高級バックや高級腕時計などいわゆる「ブランド品」を思い浮かべると思います。しかし、そもそもブランドとは、競合他社の製品やサービスとの差別化を意図するためにつけられた名前やマークの総称を指します。その意味では、ほとんどの製品や企業がブランドであり、特別なことではないと言えます。

 ブランドは、1980年代後半から、重要な経営資源として世界中の企業に注目されるようになりました。

 当時、アメリカの消費財企業は、激しい価格競争を展開していました。価格競争は、報復の連鎖によって際限がありませんので、死滅的競争(Cut-throat competition)とも呼ばれます。価格競争が激化すると、当然、収益は圧迫されます。価格競争を回避する手段として、ブランドへの注目が集まりました。

 また、1980年代になると、国際的M&Aが起こるようになりました。その際、買収目的が、その企業の技術や資産の獲得ではなく、消費者によく知られ、愛され、再購買率の高いブランドの獲得とする案件が多数発生しました。例えば、スイスに本社があるNestléが、イギリスのRowntreeを買収したのは、Rowntreeが販売していたチョコレート・ブランド「KitKat」を得るためでした。

 こうしたことから世界中の企業がブランド構築に注力するようになり、そして、世界中の研究者もブランド価値の研究を始めるようになったのです。

 ブランド価値を概念的に整理したのが、アメリカの経営学者であるDavid Aakerです。彼は、1991年に「ブランド・エクイティ」という概念を発表します。以後、世界中の企業にとって、ブランド戦略は重要な経営課題に位置づけられるようになります。

 当時、多くの日本企業も、ブランド管理の専門部署を立ち上げ、ブランド戦略に取り組み始めました。しかしながら、ブランド・エクイティやブランド戦略への理解が十分ではなかったため、企業によっては、ブランド戦略を商標権の管理のみとして認識している企業もありました。

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