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2020.03.11

新しい価値を創出するイノベーションを育てるのは、私たち自身

新しい価値を創出するイノベーションを育てるのは、私たち自身
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>>英語版はこちら(English) 最近、イノベーションという言葉をよく耳にします。一般には、技術革新と訳されることも多く、現状を打開する技術や工夫という意味で捉えられがちですが、本来は、技術の変化だけでなく、経済発展の重要な要因として捉えられるものだと言います。それは、当然、私たちの生活にも関わってくるものです。

普及することで新しい価値は生まれる

山内 勇 いま、私たちは、朝、起きてスマホで予定を確認し、通勤や通学中にニュースや友人のSNSをチェックし、ランチや夕食のお店を検索し、Google マップを見ながらお店に行き、帰宅してからAmazonや楽天でショッピングをし、寝る前にはNetflixでドラマや映画を観たり、オンラインゲームをしたりする生活が当たり前になっています。

 わずか20年前には考えられなかった生活です。しかし、その20年前も、それ以前には考えられなかったような新しい生活をしていたのです。

 すなわち、私たちは、常に、自分たちを満足させてくれる製品やサービスを取り入れ、それが新たな価値となり、生活を変化させることを重ねてきているのです。

 そうした新しい価値を生み出すことが、イノベーションなのです。

 重要なのは、どんなに革新的なアイデアや技術であっても、それが普及しなければ、新しい価値は生まれないということです。

 例えば、経済学では、効率性という概念によって善し悪しを判断しますが、効率性とは、簡単に言えば、人々の満足感の合計と企業の利潤の合計を足し合わせたものです。それは社会的な価値と言い換えることもできます。

 つまり、イノベーションとは、より多くの人々に満足感を与えること、それは普及するということであり、それによって企業は多大な利益を上げることができ、すなわち、経済発展の重要な要因となるわけです。

 このようなイノベーションは近年に始まったことではなく、歴史上、何度も繰り返して起きてきました。

 例えば、産業革命などはその典型です。生産技術の革新は、それによって生み出される製品やサービスが人々の満足感を高め、それを提供する企業に大きな利益をもたらし、経済発展に繋がりました。

 しかし、産業革命は、同時に様々な問題も起こしています。

 現代は、第4次産業革命の時代と言われていますが、過去の産業革命を検証することで、イノベーションによって起こる問題と、それに対してどのように対処していったら良いのかを学ぶことができます。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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