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アベノミクスを斬る ―「三本の矢」は的を射るか、日本経済は再生するか―

田中 秀明 田中 秀明 明治大学 専門職大学院ガバナンス研究科 教授

社会保障制度改革の提言 アベノミクス「第四の矢」を

 日本の喫緊の課題は、少子高齢化をいかに乗り切るかということだ。労働人口が減少する中、年金・医療を中心とした社会保障関係費用は膨張していく。それが日本の財政健全化の足枷となっていることは言うまでもない。安倍政権は、発足当時から、2020年までに基礎的財政収支の均衡を図るという財政再建目標を掲げている。しかし、アベノミクスが目論見どおり成功し、名目経済成長率3%、実質経済成長率2%を達成できたとしても、政府が試算している財政の中期見通しでは、その目標は達成できない。過去20年間の実質成長率の平均は1%未満であり、今後の10年間の成長率がこれまでの2倍になっても達成できないのである。それは、主に、社会保障を中心とした歳出の削減・効率化が不充分だからである。安倍政権は、この4月から消費税率を5%から8%に引き上げることを決めたが、今後消費税をいくら増税しても、社会保障制度の中身を改革しなければ、砂漠に水を撒くようなものである。
 安倍政権は、全体的には、この1年間、政権運営に成功している。が、それは、社会保障制度の改革、財政再建、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)など、難しい課題を先送りしているからとも言える。安倍首相は、小泉氏より長く首相を勤め、歴史に名を残す首相を目指しているのであれば、社会保障制度改革や財政再建など困難な課題に立ち向かわなければならない。そのためには、政治家が国民に改革の必要性を訴え、国民が納得しなければならない。これから2年半は、基本的には国政選挙がない。最後のチャンスであり、改革をやるならば今しかない。社会保障制度改革をアベノミクスの、いわば“第四の矢”として位置付け、安倍総理が強いリーダーシップを発揮して改革に取り組むことを提言したい。社会保障制度改革のポイントは、相対的に恵まれた人にはがまんしてもらうことである。優先順位を付け、真に必要なところに資源を投入すべきである。経済危機が来るまで改革を待つか、他国の経験を学んで自ら痛みを伴う改革に取り組むかが、今の日本で問われていることである。

(注)目標の達成度合いを計る定量的な指標のこと

※掲載内容は2014年3月時点の情報です。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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