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2013.11.01

顧客と企業が協働して価値を生み出す ―協働型マーケティングの時代―

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企業と顧客の関係性をどう創るか

 「協働型マーケティング」においては、企業のみが価値を創るのでなく、顧客と一緒になってこれを創ることが求められる。問題は、企業と顧客がどのようにして関係性をもつかということだ。先に示した商店街では、“コンシェルジェ”を設けることで、顧客との会話・交流が成立した。では一般企業ではどうするか。ある家具店の例を見てみよう。家具は購入後に、据え付けて消費してこそ価値が生まれる。つまり、“配送”が必要でありそれは商品価値の一つとして価格に反映される。その家具店は、家具をノックダウンにして、これを家で組み立てるようにして、配送は顧客に任せ、販売に特化することで低価格を実現、新しい“機能分担型関係”を創り出した。また、ある建機メーカーは、各種建機の中にセンサーを取り付け、故障が発生するとネットワークを介して情報が伝わる仕組みを提供している。顧客と一緒に状況を把握することが可能になった。“協働”の一つのカタチである。ある楽器メーカーは、それまで電子ピアノは電子楽器のカテゴリーとしていたが、顧客の声を反映させてピアノのカテゴリーとして、顧客が品選びしやすい状況をつくった。大手繊維メーカーが売り出したメガネ拭きは、今、顧客の要望に応えて顔拭きとして販売されている。いずれも売り上げ増につながっているが、それは企業と顧客が関係性を築き、一緒に価値を創った結果なのである。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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