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高信頼性組織とは何か ―失敗が許されない組織の条件―

明治大学 経営学部 教授 中西 晶

失敗の許されない組織が持つ5つの行動特性

3層構造で理解する高信頼性組織の説明表 高信頼性組織を実現するためには、どのような特性を醸成しなくてはならないか。1つ目は、日頃の組織運営において、ちょっと変だという微細な変化に気づく「鋭敏さ」。そして2つ目は、個人の気づきを組織としての対応につなげるために、きちんと伝える「正直さ」。ちょっとしたことならそのままにしておいた方が楽だし、特に自分のミスは他人には言いたくない。しかし、ちょっとおかしいということを上司にきちんと伝える正直さがあることは大切だ。3つ目は、正直な報告に対してきちんと確認し、念には念を入れる「慎重さ」。部下から正直な報告があったとしても、上司がそれをスルーしてしまうと事故や不祥事につながり、結局は組織として対応できたことにはならない。この3つは通常時から大切なことである。しかしながら、どうしても事故が起きてしまうことがある。事故が起きたとき、または事故が起きそうなときには、事態の収束に全力をあげる「機敏さ」、そして状況に合わせて権限に関わらず知識・能力を持った人が対応できる「柔軟さ」が必要になる。

適切なマネジメント

 これらの5つの組織行動を実践するためには、「意思決定」「情報共有」「教育訓練」「内部統制」「評価報酬」といったマネジメントの仕組みに落とし込むことが必要になる。特に重要なのは、組織を正しい方向に導く「評価報酬」の仕組みづくりである。評価報酬とは、お金の問題だけではない。たとえば上司が褒める、社長表彰を行うなど、求められる行動は何かを明らかにすることが大事である。評価や報酬のフィードバックによって、正しい行動が評価され、良くない行動は罰によってなくなっていく。これは心理学の分野においても、基本的な学習心理として認知されている。
 人間は、良いことも悪いことも学習してしまう。だから隠した方がいい、あるいは隠しても大丈夫なのだということを上司が示してしまうと、部下は当然それを学んでしまう。正直な報告や慎重な確認を褒め、一方、不祥事などを隠すことは良くないのだということをフィードバックするとともに、正しい行動を示すことが大事である。

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