
2022.08.09
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
高信頼性組織のバックグラウンドとなるのが、それぞれの組織が持つ文化である。そこで醸成したい文化を4つほど提起したい。1つ目は「学習の文化」。組織も人も学習する、失敗や他の事例から学ぶことができること。2つ目に「信頼の文化」。組織として信頼性(Reliability)を獲得するには、その組織が信頼(Trust)されていなくてはならないし、その組織の中の人が相互に信頼し合っていなくてはならない。さらには、何が自分にできて何ができないのかを把握した上で信頼に応えていく自己信頼も重要になる。3つ目は「正義の文化」。反社会的集団においても組織内の信頼関係はあるが、社会からの信頼を実現するには正義が大事である。そして4つ目が「勇気の文化」。おかしいことに気づいても、組織の中で発言するには勇気がいる。場合によっては内部告発をしなくてはならないこともあるだろう。会社の常識が社会の非常識となってしまっている場合は、社会の常識にもとづいて、会社の常識を破らなくてはならない。
高信頼性組織を真剣に目指すのであれば、トップが現場を支える「逆さまのピラミッド」を思い描くと分かりやすい。安全・安心を支える現場や裏方の人たちへのリスペクトを持ち、組織として安全・安心を達成するために管理職や経営者が何をすべきか、それを考えることが高信頼性組織に向かう第一歩になるのではないだろうか。
※掲載内容は2013年9月時点の情報です。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。