
人生のターニングポイントバブルが弾け改めて感じた、初心を貫く大切さ
教授陣によるリレーコラム/人生のターニングポイント【36】
いわゆる「バブル経済」が崩壊して社会の流れが大きく変わった時が、私のターニングポイントになりました。
私が大学の農学部で学んでいた時は、まさにバブルの絶頂期だったのです。
景気がよく華やかな時代だったからこそ、地味な印象の農学部は、受験生に人気がある学部とは言えませんでした。
以前から抱いていた「このままでは農業や農村が廃れてしまう」という危機感から生まれた「この問題を解決する研究がしたい」という気持ちありました。
また、実家が地方にあり、祖母も農業を行っていました。長期の休みには、その祖母宅でまさに農村生活を送っており、農業や農村に親近感もありました。
私は大学から大学院へと進み、世間の風潮など気にせずに、農業の研究を行っていました。この研究が、農業はもちろん、広く世のため人のためになるという思いがあったからです。
そしてバブルが弾けたのです。そんな時代の変化にもかかわらず、やはり私は、自分のやるべきことを続けていました。
すると今度は、農学が注目され始めたのです。農業が環境へ与えるよい影響や、農家が生み出す安全な食べ物などに、世間の関心が向けられたからでした。
社会の価値観が転換したことで、農学が時代をリードするような学問になり、農学部の人気も高まっていったのです。私は「初志貫徹」という言葉の意義を、改めて知ることとなりました。
社会人の皆さんも、社会や他人の評価に一喜一憂せず、自分の決めた道を進んでいると、やがて認められる日がくるのではないでしょうか。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。