Meiji.net

ある人の言葉で甦った、 “夢”への熱意
2023.04.20

人生のターニングポイントある人の言葉で甦った、 “夢”への熱意

リレーコラム
  • Share

教授陣によるリレーコラム/⼈⽣のターニングポイント【18】

来日して日本語学校に通っていた時、担任の先生からいただいた言葉が私のターニングポイントになりました。

中国内モンゴル自治区の農村に生まれた私は、小さい頃から「お腹いっぱいお米が食べたい」と思い続けて育ちました。それほどまでに実家は貧しく、まわりのほとんどの人々も貧困にあえいでいました。

高校を卒業し、家の農業を手伝っていましたが「ここにいてもどうにもならないから、地元のためにも大学で先進的な農業を学ぼう」という志を抱き、農村も豊かだと聞いていた日本へ行くことにしたのです。

関西のある都市に住み、アルバイトをしながら日本語学校で学び始めると、いとも簡単にご飯を満腹になるまで食べられ、仕送りまでできるようになりました。

ずっと望んでいた、お腹いっぱいお米を食べるということをすぐに達成でき、拍子抜けした私は、しばらくすると自分が進むべき道を見失い、やる気もなくしかけていました。

そんな私を見るに見かねたのでしょう。日本語学校の担任の先生が「あなたは何のために日本に来たの?」と、優しく問いかけてくださったのです。

その言葉で、日本語学校に入った時「大学で学びたい」と先生方に話したことを思い出したのです。自分が満たされたことですっかり満足し、故郷の人々の貧困を忘れていたことを恥じました。

先生に言葉をいただいてからは、大学へ進学する意欲が再び湧いてきました。日本語学校を卒業すると、大学受験に必要な英語を習得するために愛着のある関西を離れ、専門学校がある東京に移ったのです。

そして来日から4年間後に、念願だった明治大学の農学部に入学することができました。

今は母校の教壇に立ち“夢”はさらに広がっています。まず「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」、そして「食料安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」ための研究を続けているのです。

みなさんも人生で道に迷うことがあると思いますが、そんな時は最初に抱いた“夢”に立ち返って自分の生き方を見直し、もう一度気持ちを奮い立たせてみてはいかがでしょう。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

  • Share

あわせて読みたい