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初めて大学を移って、広がったモノの見方
2023.04.13

人生のターニングポイント初めて大学を移って、広がったモノの見方

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/⼈⽣のターニングポイント【17】

私のターニングポイントは、早稲田大学でポストドクターになった時でした。

ポストドクターとは一般に「ポスドク」と呼ばれ、大学院博士後期課程の修了後に就く、期限付き研究職のことです。私は大学から大学院まで一橋大学に在籍し、さらにポスドクとして一橋に残っていました。

一橋での任期が終わりに近付くころ、普通であれば専任教員の職を探すのでしょうが、私は、研究者としてのスキルをもう少し伸ばしたいと考えていたので、ポスドクの公募を探していました。

そんな中で見つけたのが、早稲田のポスドクでした。

今だから言えますが、早稲田に対して当時はあまり良いイメージは持っていませんでした。しかし、背に腹は代えられないということで、応募し、採用していただきました。

いざ早稲田に入ってみると、想像以上に多くの学びを得ることができました。

研究という点では、新たなスキルを身に付けることができましたし、ネットワークも広がりました。それらは、今の研究活動に大いに役立っています。

また、より大きな収穫は、研究者あるいは大学教員としての視野が広がったことです。

早稲田の学生や教員とやり取りをする中で、それまで早稲田に対して抱いていたイメージにとてもバイアスがかかっていたことに気付いたのです。

当初のイメージはすっかり変わり、研究や教育に対する新たな見方を手に入れました。

「外」から見るのと「内」から見るのとでは、当然ながらモノゴトの印象は異なります。しかし、ずっと「外」から見ていては、その違いに気付けないどころか、違いがあることすら意識せずに日々を過ごしてしまいがちです。

「正義の反対は悪ではなく、もうひとつの正義」なんて誰かが言っていましたが、早稲田でのポスドク生活は、まさにそれを痛感する経験でした。

ポスドクを経て、明治大学に移ることができたのは、2つの大学の異なった文化を経験したおかげだと思っています。

今は会社員の方も副業が認められてきています。

私のように同じ業界ではなく、それまでとは違う業界、特に自分にとって未知の業界や少し苦手なイメージのある業界に入り、その文化に触れるならなおさら、それまでの経験を相対化する良いきっかけになり、より幅広い視点やスキルを身に付けることができるのではないでしょうか。

そうすればきっと、副業だけでなく本業にも良い影響が出るはずですよ。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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