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「孤独」は、人を育てる。
2026.09.16

学びを加速させるアドバイス「孤独」は、人を育てる。

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/学びを加速させるアドバイス【40】

先日、ジャーナリストやDJとして知られるモーリー・ロバートソンさんが亡くなりました。私が大学生活を始めた頃にラジオ局J-WAVEが開局し、放送が始まりましたが、モーリーさんがナビゲーターをしていた深夜番組をよく聞いていたのを覚えています。

そのモーリーさんが書いた本に『よくひとりぼっちだった』(文藝春秋)があります。アメリカ人の父と日本人の母を持つ彼は、どちらの社会においても「完全に属する」ことができず、孤独とともに時間を過ごしてきました。

しかし、その孤独は単なる欠如ではなく、思考を深め、自分自身の立ち位置を問い続ける契機でもあったのだと思います。振り返れば、1970年代という時代には、若者が孤独であることにある種の価値や意味を見出す空気が確かに存在していたように思います。

一方で現代の日本では、「ひとりぼっち」であることは、どちらかといえば否定的に捉えられがちです。実際、私が大学で学生相談に携わるなかでも、「他の学生とうまくコミュニケーションがとれない」「一人でいるのが不安だ」といった相談は少なくありません。当人にとって、それは切実な問題であり、軽く扱うことはできません。

ただ、ここで立ち止まって考えてみたいのは、「ひとりでいること」は本当にそれほど否定されるべきものなのか、という点です。

人と関わることが大切であるのは言うまでもありません。しかし同時に、他者から切り離された時間のなかでしか得られない経験もまた、存在します。むしろ、人生のある時期においては、意識的に「孤独」に身を置くことが個人の内面を豊かにする可能性もあるのではないでしょうか。

とりわけ学生時代は、社会的な役割から一時的に距離を置き、自分自身と向き合うことができる貴重な期間です。いわば人生のモラトリアムとも言えるこの時間のなかで、ひとり静かに考える経験は決して無駄にはなりません。

本を読む、映画館や美術館に足を運ぶ、あるいは何もせずに思索にふける。そうした時間は、外からは見えにくいかもしれませんが、確実に思考の深さや感受性を育てていきます。

今、「友だちがいない」とか「孤独だ」と悩んだり引け目を感じている学生さんへ。

その時間をただ耐えるだけのものとして捉えるのではなく、自分自身を深める機会として引き受けてみることも一つの選択肢です。ひとりだからこそできることに集中する。その経験は、後になって思いがけない形で自分を支えてくれるはずです。

人とのコミュニケーションの拒絶を勧めるわけではありませんが、ひとりだからできることを、貴重な学生生活でやり切っておくのはどうでしょうか。

「孤独」は、人を育ててくれます。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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