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徹底的に取り組めば、苦手なことも楽になり習得できる
2024.12.18

人生のターニングポイント徹底的に取り組めば、苦手なことも楽になり習得できる

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/人生のターニングポイント【96】

私の成長のつながったターニングポイントは、高校時代に部活動でひたすら柔道の基礎練習を続けていたことです。当時の経験が、自分にとっては大きな考え方の転機だったと思います。

高校での指導者は、基礎からみっちり叩き込む人でした。どのスポーツもそうでしょうが、基礎練習は地味できつい。なかでもとくにしんどくて嫌いなメニューがあり、当初は「今日はアレがないといいな」と願っていました。

しかし練習は毎日あります。短期的に避けられたところで、ずっと逃げ続けることはできません。しかも何日か空いて急に行うと、余計につらい。そこであるとき、「徹底的に取り組んで、苦手意識をなくした方が精神的に楽だ」と考え、練習時間外でも本格的にやってみることにしました。すると身体が慣れて、どんどん楽になり、苦手意識も薄れていったのです。

あの経験が、その後のさまざまな物事への取り組み方に影響しています。強く感じたのは、大学に進学してから管理会計という分野に出合い、研究の道へと進みはじめたときです。研究するとなると、膨大な量の論文をどうしたって読まなきゃいけません。専門分野の論文は英語で書かれてあるもののほうがはるかに多く、最初はとても時間がかかり、できることなら読まずに済ませたいと思っていました。しかし、そんなことは不可能です。

継続していったほうが楽になるということが、経験的にもわかっていたため、研究を始めてからは逃げずに向き合いました。結果、みっちり読んでいけば、どんどん読むスピードも速くなっていくし、身になっていったのです。この姿勢は、英語の論文に限りません。何事に対しても「逃げずに向かってこう」という心構えを、常に持ちながら取り組んでいます。

何か新しいものが出てきたときにも、できる限り「自分にはよくわからないから、使わずに済まそう」という考え方はしないようにしています。近年話題の生成AIだって、最初はわからず時間がかかったとしても、将来的に当たり前になるでしょうから使う努力をしたほうがいい。これから年齢的に少しずつ新しいものや変化に適応する能力も落ちてくると思いますが、「慣れたら楽だ」の精神で、これからも新しいものに挑戦し続けたいと考えています。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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