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皆が共に生きられる、多様性のある社会を築こう

田中 ひかる 田中 ひかる 明治大学 法学部 教授

歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。

教授陣によるリレーコラム/⼈⽣で影響を受けた⼈物【106】

私は功成り名を遂げた人よりも、名前も知られず地道に世の中のために活動している人たちから影響を受けていると思います。

ついこの間まで、毎年3万人を越える自死者が出ていた時代がありました。当時、この状況を変えるために、ある自死防止のためのプロジェクトが立ち上げられたのですが、その活動の一環として自死遺族に対する聞き取り調査が実施されました。

その時、自身も自死遺族でありながら、別の遺族の元に出向き、聞き取り調査を行った若者がいました。自分がつらいのに、同じ境遇の方のつらい話を聞くのはどんな気持ちだろう、とその時に思いました。

その若者は「これ以上自分と同じことが起きないように」と、活動に加わったと言っていました。その後、自死者の数は減っています。この若者のような人たちがいたからだ、と思っています。

また、野宿者(ホームレス)の人たちのために夜回りを行い、炊き出しをしているアナーキストも知っています。

きちんとスーツを着ている働き盛り世代の男性が路上で生活している、ということに気づいた彼らは、「日本社会全体が、労働者を低賃金で使い捨てる場所になっている」と指摘しました。「格差社会」という言葉が使われるようになるよりずっと前の頃です。

アナーキストは戦前から、底辺からの視点に基づいて政府を批判し、社会変革を訴えました。その結果、政府によって弾圧され、大杉栄のように理不尽に命を奪われた人たちも多くいました。彼らは「変わり者」として社会から排除されました。

しかし、私たちはみんながお互いに違います。違いを認め合い、理解し合える関係を作ることで、野宿者になっても排除されず、自死などしなくとも生きていける社会を作ることができると思います。それが「ダイバーシティ」の実現ではないでしょうか。

今までは関心がなかったり見ないふりをされていた人たちから話を聞いて学ぶことで、私たちは変わっていくことができます。その考え方は、会社やビジネスにも必要なのではないかと思います。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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