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行き詰ったら、「知の総合化」で解決しよう

西川 和孝 西川 和孝 明治大学 法学部 准教授

歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。

教授陣によるリレーコラム/人生で影響を受けた人物【101】

私の研究姿勢に大きな影響を与えたのは「知の巨人」と呼ばれたジャーナリストの立花隆氏です。

惜しくもお亡くなりになりましたが、学生時代に立花氏の著書に接したことで、強烈な知的刺激を受け、学問で身を立てようと志す動機となりました。

立花氏は「人類の共有する知の全体は、絶えず膨らみつつあり、いろんな領域が分業体制で支えている」とおっしゃっています。

さらに「知の世界がとめどなく細分化していくとき、そのカウンターバランスをとるべく、知の総合化が必要である。さもなければ、知の世界は、細分化のあげくに知の全体像が見失われていく」と主張されています(立花隆『脳を鍛える 東大講義 人間の現在1』 2000年 新潮社より)。

私が研究する中国雲南省の歴史は、極めて限られた文献を丁寧に読み解くことから始まります。しかし手元にある既存の史料だけでは、とうていその社会や歴史を深く知ることはできません。

そのため、対象地域の気候や地理的条件を加味し、さらに現地に赴いて碑文を調べたり、聞き取り調査をしたりすることで、より立体的に当時の対象社会を再現することに努めます。

また、別に私が関わっている昔のお金、銅銭の研究では、最初は考古学者と一緒に調査を始めました。そのうちお金を成分分析する専門家が加わると化学式が必要になったのです。

私の研究において、一つの対象に対して、より多角的にアプローチするという考え方は、立花氏の「知の総合化」の影響が根底にあるのだと思います。そこに文系・理系の垣根はありません。

ビジネスの社会でも、自分が携わっている狭い世界ばかりに視点が集中して、問題の解決方法に行き詰まり、悩んでしまうケースも多いと聞きます。

そんな時は、一歩引いて心に余裕を持ちましょう。そして視野を広げ、いろんな角度から課題を総合的に見てみると、いままで思いつかなかった解決法が、きっと見つかると思いますよ。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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