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受け取った“想い”を、次世代へつないでいこう
2021.06.17

人生で影響を受けた人物受け取った“想い”を、次世代へつないでいこう

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/人生で影響を受けた人物【20】

私は憲法や行政法を専門に、情報化社会の表現の自由などの研究をしています。研究者として一人前になるまで、たくさんの先生に教わる機会がありました。

日本でも多くの先生方に支えられ、公私ともに影響を受けてきましたが、ここではダニエル・ファーバー先生や、ウィリアム・フレッチャー先生をはじめとした、カリフォルニア大学バークレー校のロースクール留学時代の恩師をご紹介します。

一人目のファーバー先生は、憲法、環境法、気候変動を専攻されている方で、科学的見地から法律を検討する姿勢を学びました。

科学というのは、私たちが考えている事柄は間違っているかもしれないという前提に立ち、批判と考察を重ねてよりよい真理に迫っていく学問です。

実際に国会で法律を作るときにも、それが科学的な根拠に基づいているかを判断するのです。

先生からは、その判断に政治的な考えが混ざってしまわないよう、いかにしっかりと切り分けていくかを教わりました。

二人目のフレッチャー先生は、連邦裁判所の裁判官を務められ、研究に対して非常に忠実な方です。

研究は一般の方が思うほどスムーズには進まないものですが、一つひとつをしっかり積み重ねていく先生の姿勢を見て、これほどまでに徹底的に進めないと社会には研究を発信できないのだと思い知らされました。

私が今の研究者としての地位を築くことができたのも、様々な先生のもと、学問に向き合う生き方を間近で見たり、経験を積み重ねたりしたおかげだと思っています。

先生方にそのご恩をお返しするのはすぐには難しいので、私ができることといえば、恩師から受けた薫陶を心に刻み、未来を担う若者たちのサポートをしていくことかもしれません。

次の世代の人たちが成長するための機会を提供したい、という志を抱いています。

皆さんも上司や先輩から受け継いだ教えや想いなどを、後輩に伝えていってはいかがでしょうか。きっとそれが恩返しの代わりになると思いますよ。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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