2024.03.21
- 2023年1月12日
- リレーコラム
想像力を仕事のモチベーションに繋げよう
大槻 晴海 明治大学 経営学部 准教授歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。
教授陣によるリレーコラム/⼈⽣で影響を受けた⼈物【105】
作家・吉川英治の「われ以外みなわが師」という言葉のように、私の人生には影響を受けた人物がたくさんいて、一人だけ選ぶのはとても難しいことです。
あえて挙げるとすれば、大学受験という人生の岐路で選ぶべき道を教えてくれた、考古学者のハインリヒ・シュリーマンでしょうか。
彼は、子供の頃に読んだ本に描かれていた「トロイの伝説」に対するロマンを、大人になっても持ち続けていました。そして、「トロイは存在する」という信念を貫き通し、見事に、神話だと思われていたトロイを発見するのです。
私はもともと考古学に興味があり、受験勉強の合間にシュリーマンの自伝『古代への情熱』を読んでいました。そこで、シュリーマンが発掘資金を貯めるために実業家になったことを知り、経営学にも興味をひかれました。
どちらの道に進もうかと悩みましたが、彼の足跡を辿ろうと、本学の経営学部に進学したのです。そして、私はいつしか経営に役立つ会計学の面白さに目覚め、現在に至っているというわけです。学者となったという点では、同じです!
シュリーマンは、一生涯にわたり想像力と行動力を持ち続けた人物でした。
例えば、噂に聞く日本に興味を持った彼は「自分の目で見てやろう」と、幕末の動乱期にもかかわらず来日。さらに国内を旅して社会や庶民をしっかりと観察し、旅行記を書くほどの行動力をみせるのです。
そういう人物だからこそ、誰もがその存在を信じなかった、トロイの遺跡を発見することができたのでしょう。このシュリーマンの想像力と行動力には、私は今でも感服させられています。
研究やイノベーションに大事なものは、ビジョンを描く想像力です。それが道を切り開くための指針となり、今まで気づかなかった物事を発見したり、新しいものを生み出したりする行動力のきっかけになります。
仕事をする時にも、関係する人々の夢や希望を心に描くことで、今の自分が成すべきことが見えてきて、仕事に対するモチベーションが上がったり、やりがいを持って働いたりすることができるはずですよ。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。