
2023.03.23
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。
経営史研究の大家であるアルフレッド・チャンドラー先生、恩師である安部悦生先生・橘川武郎先生、ハーバード大学の受け入れ研究者だったジェフリー・ジョーンズ先生、と影響を受けた方はたくさんいますが、考え方の面で刺激を受けたのは芸術家の岡本太郎氏です。
私は元々研究者志望ではなく、大学1年の時は真剣に勉強していませんでした。2年になってようやく自分に向き合う中でふと思い出したのは、高校生の頃に考えていた留学のこと。
ただ、勉強不足で英語はできない、お金もない、と八方塞がり状態。
でも行くなら今しかないと悩んでいた時、たまたま入った本屋で岡本太郎氏がこちらをギロッと見ている本に出合ったのです。それが、氏の『自分の中に毒を持て』でした。
力強いメッセージが並ぶ中で印象的だったのは「迷ったら辛い方を選べ」。この言葉に背中を押されて大学を休学し、カナダへワーキングホリデーに行くことを決意しました。
彼のような「毒」はいまだ持てていませんが、過去の自分に挑むという考え方に影響を受けたのは間違いありません。カナダ滞在時も、帰国後も、大学院進学後も、たびたび読み返したバイブルです。
私の専門である経営と芸術は結びつかないように見えますが、経営は私にとって社会を見ることと同じ。芸術も、経済・経営も、政治も、そして法律も、社会の中で密接に絡み合い、人の活動に結びついているのです。こうした発想も、氏の本から影響を受けたと思いますね。
長く働いていると専門分野を深く掘り下げることに没頭し、本も専門書ばかりという方も多いのではないでしょうか。
社会という枠の中で自分がやっていることに迷わず、また明確にするために。私の場合は、本に限らず様々な分野に興味を持ち、どんな小さなことも社会につながっていることを意識しています。
皆さんも興味の幅をもっと広げてみてください。例えば、偶然手に取った一冊が考え方を変えるきっかけになるかもしれませんよ。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。