
人生で影響を受けた人物行動して、失敗して、考えて、成長に繋げよう
教授陣によるリレーコラム/人生で影響を受けた人物【94】
明治大学名誉教授の大石芳裕先生です。先生が1997年に明治大学の広報誌「思索の樹海(うみ)」に書かれていた記事を読み、人生が変わったと言っても過言ではないからです。
私は幼い頃からギターが好きで、中学高校時代はバンドを組んだり、曲を作ったりしていました。ところが高校卒業後はさしたる目標もないまま予備校に通っていたのです。
そんな時、あるアーティストの駅ジャック広告を目にしたのです。毎日見ているうちにどんどん気になりだして、最後は大して興味のなかったそのアーティストのCDを購入するに至りました。
私は音楽をやっていた頃から、曲作りそのものよりも、どんな音楽が人の心を掴むのか、ということに興味があったので、「ああ、音楽も広告も同じなんだ!」と思ったのです。
それから色々調べていくと広告はマーケティングの一部だということがわかり、マーケティングについて調べていくと、「思索の樹海」に掲載された大石先生の記事に出会えたのです。
『私は二十五歳で大学一年生になった「落ちこぼれ」である。勉強は嫌いだ。』という一節で始まるのですが、変な先生がいるな、でも面白いな、とすぐさま心を掴まれてしまいました。
それからは、この人の教える「グローバル・マーケティング」というものをぜひ学んでみたいと思うようになり、先生のいる明治大学だけを目指し、本腰を入れて受験勉強に取り組み始めたのです。
そして無事に入学でき、大石先生の門下生にもなれたのです。さらに光栄なことに、今では先生の後任として同じ科目を教えることができています。
先生の教育方針は一言でいうと“自由”。1から10まで教えるのではなく、まずはどんどん試して、いろいろ学びなさいというスタイルでした。
遊びも大切にしながら、その中でどうすればそれが自分の学びや研究に繋がるか、という視点を養いなさいと。この教えは今でも本当に役に立っているのですよ。
1つのことにこだわらず幅広くアンテナを張っておく。それからトライしてみる。マーケティングを研究する上ではすごく大切なことですが、これはどんな仕事にでも当てはまるのではないでしょうか。
まずは自分でやってみて、たとえ失敗したとしても、自分の頭で原因を考えて、解決まで導くことができたなら、それはきっと大きな成長に繋がるのだと思いますよ。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。