明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

原点を振り返り、改めて自分と向き合おう

出雲 明子 出雲 明子 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授

歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。

教授陣によるリレーコラム/人生で影響を受けた人物【71】

辻清明先生の論文「行政における権力と技術-現代行政学の理解のために」は、公務員制度を研究する私の原点です。

この論文に出合ったのは、大学院への進学を考えていた頃。行政学がどのようなものかを理解するために手に取りました。

読んでみるとこれがとても難解。当時はあまりにも意味が分からず、別紙に書き写して暗記したほど。

例えば今のコロナ禍では、コロナの専門家と政治家の間にはすれ違いや緊張感があります。医学の分野では正しいことでも、政治の分野では影響が大きすぎたり、お金がかかりすぎたり。

行政では、技術的(客観的)には正しいことが、権力的(政治的)には当てはまらない。こういったことはコロナに限らず起こりますが、それはなぜ起こるのか、矛盾する中でどう両立していくのか、ということが書かれていました。

当時の私は、シンプルに技術と政策は結びつくと考えていたため、矛盾や対立があるとは思いもしませんでした。こうした難しい一面を知り、行政は研究する余地があると実感したのです。

辻先生から直接指導を受けたことはありませんが、門下生だった西尾勝先生と西尾隆先生から学ぶ機会を得て、私は行政学の研究の道に進みました。

初心とも言えるこの論文の書き写しですが、実はその存在をすっかり忘れていまして……。昨年、以前勤めていた大学から明治大学に移る際、研究室を整理していたら見つけたんです。

とても真面目に書き写していたことに驚くと同時に、学生時代は純粋に物事を考えていたことを含め、当時のことを鮮明に思い出しましたね。

自分の原点となる出来事は、普段は忘れていても頭の片隅に残っているのではないでしょうか。そして、何かをきっかけに当時を思い出したなら、改めて今の自分と向き合ってみるのもいいかもしれません。経験を重ねた今だからこそ、新たな気づきが得られると思いますよ。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

リレーコラムの関連記事

行き詰ったら、「知の総合化」で解決しよう

2022.11.29

行き詰ったら、「知の総合化」で解決しよう

  • 明治大学 法学部 准教授
  • 西川 和孝
好奇心を尊重し、長い目で見て、人を育てよう

2022.11.22

好奇心を尊重し、長い目で見て、人を育てよう

  • 明治大学 理工学部 教授
  • 吉村 英恭
環境共生などの社会的責任を自覚して働こう

2022.11.17

環境共生などの社会的責任を自覚して働こう

  • 明治大学 文学部 教授
  • 寺田 良一
仕事の基本を学んだら、失敗も糧に挑戦を続けよう

2022.11.10

仕事の基本を学んだら、失敗も糧に挑戦を続けよう

  • 明治大学 農学部 専任講師
  • 金子 賢太朗
社会人も大学で学びキャリアアップにつなげよう

2022.11.8

社会人も大学で学びキャリアアップにつなげよう

  • 明治大学 政治経済学部 准教授
  • 盛本 圭一

新着記事

2022.11.29

行き詰ったら、「知の総合化」で解決しよう

2022.11.25

中華世界の拡大は、実は、理に適っていた!?

2022.11.22

好奇心を尊重し、長い目で見て、人を育てよう

2022.11.18

「タンパク質は面白い」という好奇心が、がん退治にも繋がる!?

2022.11.17

環境共生などの社会的責任を自覚して働こう

人気記事ランキング

1

2022.11.18

「タンパク質は面白い」という好奇心が、がん退治にも繋がる!?

2

2022.11.25

中華世界の拡大は、実は、理に適っていた!?

3

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

4

2020.11.04

私たちの身近にある熱エネルギーには多様な可能性がある

5

2019.11.08

#1 日本のアニメはいつから世界で人気になったの?

連載記事