2024.03.21
- 2020年11月10日
- リレーコラム
#1 企業もサステナビリティに関わる必要がある?
長野 史麻 明治大学 経営学部 准教授企業を取りまく環境が変わりつつある
最近、マスコミなどの報道でも、企業の活動においてCSRやサステナビリティが重視されるようになってきた、ということが言われるようになってきています。
CSRとは企業の社会的責任、サステナビリティは持続可能性を意味する言葉ですが、それが企業活動において重視されるとはどういうことなのでしょうか。
そもそも、企業とはどういう存在であるのか。様々な議論があると思いますが、資本主義経済の中では、資本主に資金を拠出してもらい、それを増やし還元していくために、経済的利益を追求する組織であると言えると思います。
すると、社会的責任とか、社会の持続可能性などに関わることは二の次ということになります。
でも、顧客のニーズが、ただ、ものを得ることや、消費することではなく、企業に社会的責任を求めたり、持続可能な社会を実現するための担い手であることを求めるようになってくると、どうでしょう。企業はそうしたニーズに応えなくては、経済的利益を得ることができなくなってきます。
いま、私たちはそういう社会に変わっていく過渡期にいると言えるのです。
例えば、顧客のニーズが、ただ、ものの消費であった時代は、マネジメント・コントロールが重要で、それで十分でした。要は、顧客のニーズに応えて、そこから利益を効果的に得るシステムを構築することでよかったのです。
しかし、サステナビリティなどの社会的課題の解決を企業にも求めることがニーズになってくると、そこにはサステナビリティ・マネジメント・コントロールが必要になってきます。
そうした意識が生まれ始めた当初は、企業にとって、サステナビリティに関することは、コストだと捉えられていました。すなわち、本業で得た利益から、サステナビリティのための活動資金を割り振っていくという形です。
しかし、企業を取りまく環境は、社会的な課題を解決することを通じて、経済的な目標を達成していく状況に移りつつあります。
マネジメント・コントロールとサステナビリティ・マネジメント・コントロールが統合されることが最終的な形であり、いまは、それに向かって行く過渡期であると言えます。
企業のそうした動きの実例は、特に、欧米の企業に顕著に見ることができます。
次回は、ヨーロッパの企業の動きについて解説します。
#1 企業もサステナビリティに関わる必要がある?
#2 サステナビリティ経営を株主は認める?
#3 日本の企業はサステナビリティを重視している?
#4 サステナビリティ経営は政治に左右される?
#5 日本の企業は時代遅れになる?
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。