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世代間のギャップこそ新時代へのヒントにしよう

明治大学 国際日本学部 特任教授 沼田 優子

いまやクリエイティブな職種に留まらず、多くのビジネスパーソンにとって発想力や企画力は必須のスキル。ライバルを一歩リードするのに役立つヒントを、知の先達である明治大学・教授陣の言葉から探ります。

教授陣によるリレーコラム/アイデアの泉【54】

私は日米の金融機関経営などについて研究をしています。意外にもアイデアのヒントは学生と話をしているときにもたらされることがあります。

国際日本学部は世界各国からの留学生や、留学する日本人学生が多く、私のゼミも英語で開講しているなか、現役のコンサルタントの方々からアドバイスをいただき、経営の模擬実験をやっているからかもしれません。

学生たちとの世代間ギャップ、留学生との異文化ギャップをもとにヒントを探ることができます。

これは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、5月からオンライン授業が始まり、“face to face”ができるようでできないなか、物理的に国外にいる学生とも、画像と言葉だけでやりとりしなければならなくなり、ますます実感したことです。

世代間ギャップの例を挙げると、学生から「バブル世代って痛々しいですよね」「なんでそんなに、お金、お金、と言うのですか」と指摘され、バブル景気の最後に社会人となった私は、「えっ」と驚くことがありました。

こうした学生の一言をもとに「なにが痛々しいのだろう」「なにがいけないのだろう」と考えることが発想のきっかけになります。

自分と見ている角度が全然違うという意味では、金融のプロより学生と話をしているほうがギャップも大きく新鮮に響きます。

また、私は民間研究所の研究員として米国に駐在していたことがあるのですが、金融先進国のアメリカでは、栄枯盛衰のスピードがとても速く、それについていけない人は「恐竜」「絶滅危惧種」と呼ばれていました。

この相手は「何を言っているの」と思っても、若い世代の見方の方がデファクトスタンダードになる可能性があるので、彼らの言葉には耳を傾けた方が良い、とシリコンバレー在住の金融マンに教えてもらったことがあります。

ちなみにこの「痛々しいバブル」ですが、留学生からは何度か、そこに至るまでの高度成長にこそ一番興味がある、と言われました。

「なぜ彼らはそう捉えるのか」と、ゆっくり見つめ直すところに新しい発想のきっかけがあると考えると面白くもあります。

このことは、金融に限ったことではなく、あらゆる分野でも言えることだと思います。

もちろん、阿吽の呼吸で物事が進まないときは、かえって非効率に感じることもあるでしょう。ですが、新型コロナウイルスの席巻によって、ひとつの時代が終わろうとしている今、若い世代の考えを取り入れることで、次のデファクトスタンダードが見えてくるかもしれません。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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