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現場での感覚や人的ネットワークを大切にしよう

島田 剛 島田 剛 明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授

いまやクリエイティブな職種に留まらず、多くのビジネスパーソンにとって発想力や企画力は必須のスキル。ライバルを一歩リードするのに役立つヒントを、知の先達である明治大学・教授陣の言葉から探ります。

教授陣によるリレーコラム/アイデアの泉【11】

私は国際経済学の研究で色々なデータを集め、それを計量分析するということを行っていますが、分析結果を見て「解釈」するときには現場での観察で得たものを大事にしています。

そのきっかけとなったのが、以前JICA(国際協力機構)で働いていたときのことです。当時の私は企業を強くすることが途上国を強くすることだと考えていました。

しかし、ある時、支援する企業を探して企業の工場の現場を訪問し、そこの社長と話をすると「うちの会社はこんなに良い」と言っているのですが、現場で働いている人たちはあまり楽しそうではありませんでした。たくさんのワーカーがいて、「この人たちの生活はどうなっているのだろうか」と疑問を抱いたのです。

そこからワーカーの問題に目を向けるようになり、データを実際に調べ始めたのです。数字だけを追っていたのでは気付かないことでした。ビッグデータといわれる現代だからこそ、実際に体験し、観察することが重要なのだと思います。

ビジネスの社会でも同様に、本社にいてあがってくるデータだけを見て判断するのではなく、現場に足を運んでみてもう一度データを見るとこれまで気が付かなかったことが見えてくるのではないでしょうか。そこで効率の悪い部分や製造工程で危ないことに気付くなど、いろいろな問題を発見できるかもしれません。

いまはどちらかというと、現場に足を運ぶよりオンラインのほうが良しとされる風潮ですが、現場の力はこれからもなくならないと思います。ネット上にあるデータは誰もが使えるので、一歩先を行き、新しい発見をしようと思ったら、そこにはない情報を探さないとならないからです。

また、現場に行ってできた人的ネットワークも大切です。そこから得られる知見や疑問も仕事のエネルギーになります。専門性には「専門的な知識」もありますが、狭い限定された知識だけでは実際の職場では対応できないこともあります。

「誰がどんな専門的な知識やアイデアを持っているかを知っている」という人のネットワークや情報を持っていることも社会人にとっての専門性に入ると思っています。色々な人たちから情報やアイデアを集めてきてまとめる力もとても大切だと思います。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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