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ライフサイクルを見定め自己の危機を乗り越えよう

明治大学 専門職大学院 法務研究科 教授 平田 厚

ときに人生の指針となり、仕事のヒントとなり、コミュニケーションツールの一助となる「読書」。幅広い読書遍歴を誇る明治大学の教授陣が、これからの社会を担うビジネスパーソンに向けて選りすぐりの一冊をご紹介。

教授陣によるリレーコラム/40歳までに読んでおきたい本【38】

E.H.エリクソン/J.M.エリクソン『ライフサイクル、その完結【増補版】』(村瀬孝雄/近藤邦夫訳・みすず書房・2001年)

本書は、アメリカの精神分析学者であるE.H.エリクソンが1989年に出版したアイデンティティ論に、彼の妻ジョーンによって3章が加えられた増補版です。

人格の発達を世代ごとの9段階にわけ、各段階でアイデンティティが危機にさらされたときにどう乗り越えるか、人間の精神状態の形成にライフサイクルがどうかかわってくるのかが論じられています。

今後、日本社会はますます高齢化が進み、トラブルが表面化してくる世の中になってくることでしょう。そのなかで、アイデンティティを見失いかけたときに自分でどう解決するかが重要になってきます。本書は生きていくうえで、ひとつの手助けとなると思い挙げさせてもらいました。

私がこの本の旧版を最初に読んだのは20代のころです。興味本位であらゆる種類の本に手を伸ばしたなかの一冊でした。はじめはピンとこなかったのですが、思春期のアイデンティティクライシスみたいな部分はよくわかり、「ああそうか」と共感できました。

20年ほど前、40歳の頃に再読したところ、ライフサイクル全体で見たときのアイデンティティの問題が以前よりもよくわかるようになっていました。

20代の自分には高齢になったときのアイデンティティの危機は想像もつきませんでしたが、40歳のときに読むと若い頃のこともわかるし、60歳になったときのことも想像できるようになるのです。

古典のひとつではありますが、そのときどきの年代で捉え方、読み方が違ってくる本ですので、ぜひ一度は読んでもらいたいと思います。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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