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聖書の思想を理解して、国際社会で活躍しよう

明治大学 政治経済学部 教授 大高 研道

ときに人生の指針となり、仕事のヒントとなり、コミュニケーションツールの一助となる「読書」。幅広い読書遍歴を誇る明治大学の教授陣が、これからの社会を担うビジネスパーソンに向けて選りすぐりの一冊をご紹介。

教授陣によるリレーコラム/40歳までに読んでおきたい本【35】

『聖書(新共同訳)』(日本聖書協会)

一般に聖書というとクリスチャンのための本、というイメージがあるかもしれませんが、実は宗教的な意味での「真理」だけでなく、より普遍的な「知」のあり方が示され、最高の教養書ともいえるものです。

歴史書や文学としても多くの示唆に富み、さまざまな分野に影響を与えています。たとえば、ゲーテの『ファウスト』やドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』も旧約聖書の一説の『ヨブ記』からインスピレーションを受け、生まれたものです。

このヨブ記では、お金持ちでたくさんの家族に囲まれて幸せなヨブが、神様から財産を取り上げられ、家族を奪われ、身体的苦痛を与えられるという試練に見舞われます。信仰心の厚いヨブは文句も言わずひたすら耐えていたものの、最後には神に反論するところまで追い詰められてしまいます。

このなかには “人間の知には限界がある”というメッセージが含まれています。科学万能主義の現代社会は、原発のように自分たちがコントロールできないものまで作ってしまいました。

個人的には、人生で仕事に携わるのはだいたい50年ほどだと考えています。その営みのなかで100年、1000年先の未来の姿を考えながら行動することの大切さとともに、限られた人生のなかで責任のとれる範囲のものを作るという発想も重要だと思います。そのためには私たちが取り扱っている知識や技術の限度・限界を知っておかなければなりません。

また、日本の近代化にあたっては合理主義的な考え方を含めて西洋の思想・技術に大きな影響を受けてきました。欧米の根本精神やメンタリティを理解することは、これから国際社会で活躍する人材には不可欠なことであり、聖書から直接的・間接的に多くのヒントを得ることができます。

同時に、多様性の時代においては、アジア的価値を再発見しようという試みも生まれていますが、インド出身の経済学者アマルティア・センが指摘しているように「誤った他者理解は誤った自己理解」を引き起こします。

既存の思想をしっかり理解する上でも、聖書を読むことをぜひおすすめします。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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