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重大な危機を乗り切る知恵と術を学び取ろう

小早川 周司 小早川 周司 明治大学 政治経済学部 教授

ときに人生の指針となり、仕事のヒントとなり、コミュニケーションツールの一助となる「読書」。幅広い読書遍歴を誇る明治大学の教授陣が、これからの社会を担うビジネスパーソンに向けて選りすぐりの一冊をご紹介。

教授陣によるリレーコラム/40歳までに読んでおきたい本【5】

ベン・バーナンキ『危機と決断(上・下)』(小此木潔監訳・角川書店・2015年)

本書は、米連邦準備制度理事会(FRB)議長として、2008年以降の金融危機を乗り越えたベン・バーナンキ氏の回顧録です。金融危機を巡っては、日本も90年代に大変苦しみましたし、アメリカも2008年のリーマン・ショックをきっかけとした世界的な金融危機を克服する過程で大変な思いをしました。歴史を紐解けば17世紀のオランダにおけるチューリップ・バブルや18世紀のイギリスにおける南海泡沫事件など、バブルは形を変えて発生し、はじけるということを何度も繰り返してきました。そうした場面で政策当局としてどのように対応すべきか、本書から学ぶべきレッスンがあると思います。

もちろん2008年当時は、FRBの政策対応について批判的な意見も聞かれました。ただ、この本を読むと、明日にはどこかが破綻する、週明けにはアメリカを代表するような金融機関がとんでもない事態に陥るなど、危機が時々刻々と深刻さの度合いを増していく中で、「どうにかして危機を克服しなくてはならない」という強い信念のもと、次々と新しい政策手段なり対応策を編み出していった知恵と決断というのは、中央銀行マンだけでなく一般社会人にとっても得るべきものが多いように感じます。

日本語の立派な翻訳が出ていますが、もし英語に抵抗がなければ原文(The Courage to Act)で読むとより臨場感が伝わってきます。日本語と英語の両方を読み比べてみるのもおすすめです。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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