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役職から、いちプレーヤーになったとき、必要なのは自活力

前回は、セカンドキャリアに成功した例を紹介しましたが、逆に、上手くいかない人には典型的なパターンがあります。

例えば、大企業を定年退職し、中堅企業に再雇用された人がいました。しかし、この人は行った先の職場で、いきなり女子社員に「おい、コピーをとってくれ」とやったのです。これでは周りの人の信頼は得られず、彼にどんなに能力があっても発揮できません。

ところが、なぜ、このようなことを言ったのか確認したところ、自分でコピーをとろうと思ったが、とり方がわからなかった、と言うのです。

大企業などでは、単機能のコピー機が使われていることが多く、ボタンひとつでコピーがとれます。しかし、中小企業などでは、1台でコピーもスキャンもFAXもできるような複合機が使われていることが多いのです。便利なのですが、操作を覚えなくてはなりません。彼には、こうしたことを身につけようという意識が欠けていたのです。

これは些細な例ですが、要は、いちプレーヤーになったときに必要なのは、自分で完結的に仕事をする力、自活力とでもいう力です。まず、それがないと、いくら大企業で培った能力があるといっても、職場で相手にされません。

そこで、中高年の方々には、再教育を受ける必要があると知る必要があります。

また、受け入れる側の会社に問題がある場合もあります。中高年は使いづらいと思い込んでいて、そもそも中高年の求人をしない会社。また、中高年を受け入れるといっても、どんな人材が欲しいのか明確になっていない会社もあります。

中高年に期待するのは即戦力なのですから、ロシア語ができる人、生産管理ができる人と、自分の会社にとって必要な人材を明確にするべきです。 ただし、あまりにピンポイントの求人ではなかなか望む人材は現れません。必要最低限のスペックだけ明確にし、あとは妥協する余地も必要です。

さらに、人材と企業を繋ぐ人材斡旋会社に、中高年のコンサルティングをできるスタッフが欠けているのも問題です。従来の人材斡旋では若い人材が中心でしたが、これからは、中高年にも拡がります。中高年を再教育したり、ミスマッチを防ぐコンサルタントを育成することも重要な課題だと思います。

次回は、より良いセカンドキャリアのために必要なことについて解説します。

#1 なぜ、定年過ぎても働かなくてはいけないの?
#2 継続雇用でみんなハッピーなの?
#3 どうすれば再雇用に成功するの?
#4 能力があれば誰でも必ず活躍できる?
#5 社会人になっても勉強しなくてはダメ?
#6 高齢者も働きやすい社会になる?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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