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こだわりを捨てて自分の能力を活かすことが大事

私は、以前、50代くらいで早期退職した人たちの再教育にたずさわっていたことがあります。そのとき、学生の頃からロシア語を学んで堪能になり、商社に勤め、ロシアと取引をする部署で働いていた人がいました。

ところが、その業務が打ち切りとなりました。いわゆるポジションクローズで、その人は55歳で半ば強制的に早期退職になりました。

転職の当てがなく困っていましたが、ちょうど、あるハウジングメーカーがシベリア材の取引を始めるのにあたり、ロシア語のできるビジネス経験者を探していたため、紹介したところ、ピタリとはまり、いまでは大活躍しています。

また、大手電機メーカーで生産管理系の仕事をしていたものの、会社の業績悪化で早期退職となった人がいました。

それまでの経験を活かして別の電機メーカーに再就職することを望んでいましたが、たまたま、ヨーロッパのブランド菓子メーカーが、日本にアジアの生産拠点をつくる話があったので紹介しました。

当初、彼は大手電機メーカーに勤めていたプライドもあり、未経験の菓子メーカーの仕事はできないと言っていましたが、とりあえずいかせてみたところ、彼の目にはずさんに見えた菓子工場の改革に意欲が湧き、次々と改革するとともに、大企業で管理職をしていたので、専門ではないとはいえ人のマネジメントや人材育成ができ、そちらの業務も実践したのです。

その手腕が認められ、日本社長をやらないかとの声がかかるまでになりました。

この二つの例は、学生時代から培った能力や、大企業で鍛えられたスキルを、畑違いの業種や、中堅・中小企業の発展に活かして成功したケースです。

会社を一度辞めると再就職が難しいと思い、ウザったがられながらもいまいる会社に居続ける人が多いのですが、それは、なにより自分のためにも、また会社のためにも、さらに、そのような人材を欲している別の会社にとっても、決して良いことではないと思います。活躍するには、こだわりを捨てて、自分の能力を発揮する場を選ぶことです。

次回は、セカンドキャリアが上手くいかないパターンについて解説します。

#1 なぜ、定年過ぎても働かなくてはいけないの?
#2 継続雇用でみんなハッピーなの?
#3 どうすれば再雇用に成功するの?
#4 能力があれば誰でも必ず活躍できる?
#5 社会人になっても勉強しなくてはダメ?
#6 高齢者も働きやすい社会になる?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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