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自らの行動に責任が持てる、強い「個」を目指そう

西村 弥 西村 弥 明治大学 政治経済学部 准教授

ときに人生の指針となり、仕事のヒントとなり、コミュニケーションツールの一助となる「読書」。幅広い読書遍歴を誇る明治大学の教授陣が、これからの社会を担うビジネスパーソンに向けて選りすぐりの一冊をご紹介。

教授陣によるリレーコラム/40歳までに読んでおきたい本【21】

内田義彦『社会認識の歩み』(岩波新書・1971年)

人はいかに個人としての自覚を持つようになっていくか。そしてそれがどのようにして社会になっていくのか。また社会のなかの人々の意志をどう社会生活に反映していくか。

本書は経済学者の内田義彦氏が、マキャヴェリ、ホッブス、スミス、ルソーなどの思想について、時代を追って読み解いたものです。

マキャヴェリの時代は君主と農民に身分が分かれていて、農民は自分の意志で何かをすることはできませんでした。いまの我々は自由に物を考えて判断ができ、君主的な特権を誰しもが享受できるいい時代だと思います。

世の中がこうだからとか、誰かに言われたからなどではなく、主体的にさまざまな情報を集めて分析し、自分の判断で決断を下す。これが個人としての基本なのです。

何回も読み返すうちに、個人の判断が最終的には社会の構築に繋がっていくということが理解できます。最初に読んだのは大学生の頃でしたが、自分の行動や人生に対して責任を負わなくてはいけないのだという意識を強く持ちました。

本学は「個を強くする大学」を掲げていますが、まさにその個人としての私が社会とどのように切り結ぶか、深く考えさせられるきっかけとなった一冊です。個人としても、また社会科学の研究者としても本書と出合えてよかったと思っています。

1970年代に執筆された新書がいまだに絶版とならないのは、多くの先生が学生に読ませているからではないでしょうか。どのように社会を、そして政府を作っていくのか、現在読み返してもここで問いかけられている課題と深刻さは色あせないままです。若い人たちに貴重な知識を与えてくれる本としてぜひおすすめします。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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