明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

自ら考え行動するために、知識の幅を広げよう

明治大学 法学部 教授 柳 憲一郎

ときに人生の指針となり、仕事のヒントとなり、コミュニケーションツールの一助となる「読書」。幅広い読書遍歴を誇る明治大学の教授陣が、これからの社会を担うビジネスパーソンに向けて選りすぐりの一冊をご紹介。

教授陣によるリレーコラム/40歳までに読んでおきたい本【13】

橋本道夫『私史環境行政』(朝日新聞社・1988年)

若いときに影響を受け、いまでも折りに触れ読み返している本に『私史環境行政』があります。著者の橋本道夫氏は厚生省の初代公害課長を務めた方で、高度経済成長期の産業公害対策への取り組みから“ミスター環境庁”と呼ばれるなど、日本の環境行政を引っ張ってきた存在でした。私は大学院を修了後、3年ほど橋本先生の助手をしましたが、自分にとても厳しく人にやさしい人柄で、生き方そのものに大きな感銘を受けました。

現在、私は法律から医学まであらゆる分野の人が集まって研究活動を行う環境科学会の会長を務めています。異なる分野の人と話をするためには、それぞれの分野の最低限の知識がないと成り立ちません。また、大学は法学部でしたが大学院では理系の環境科学を研究し、環境医学や毒性学、生物学、植生学、地層学、文化人類学など、広く薄く取り組みました。研究者に限らず、一般の方々も若いときから「これ」と決めつけず、多様な考えに触れてみることをおすすめします。

「学ぶことは何歳になってもできる」という人もいますが、私自身は35歳ぐらいまでにしっかりと学習し、あとは社会で知識を活かすものだと捉えています。いつまでも本に頼っていると、自分の頭で考えて行動ができないからです。そのためにも家庭教育は重要だと思います。例えば、30代の読書習慣のない人に急に本を読めといっても難しいでしょう。子どもが小さいうちから毎週図書館に連れて行き、10冊ずつ色々な分野の本を選び、1年間に千冊ぐらい一緒に読んであげることです。そのような土台が、社会人としての伸びしろを育むのではないでしょうか。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

  • Facebook
  • Twitter
  • Google+
  • Hatena

連載コラムの関連記事

#2 なぜ、世界では「シリコンバレーモデル」が成功しているの?

2019.1.18

#2 なぜ、世界では「シリコンバレーモデル」が成功しているの?

  • 明治大学 政治経済学部 准教授
  • 奥山 雅之
“大衆”に甘んじず、自ら考え、世界を広げよう

2019.1.17

“大衆”に甘んじず、自ら考え、世界を広げよう

  • 明治大学 法学部 准教授
  • 星野 茂
#1 都市生活者に地方創生は関係あるの?

2019.1.15

#1 都市生活者に地方創生は関係あるの?

  • 明治大学 政治経済学部 准教授
  • 奥山 雅之
本の再読を通じて、むかしの自分に会いにいこう

2019.1.10

本の再読を通じて、むかしの自分に会いにいこう

  • 明治大学 理工学部 准教授
  • 松尾 卓摩
自らの行動に責任が持てる、強い「個」を目指そう

2018.12.20

自らの行動に責任が持てる、強い「個」を目指そう

  • 明治大学 政治経済学部 准教授
  • 西村 弥

Meiji.netとは

新聞広告連動企画

新着記事

2019.01.16

自動作曲システム「Orpheus」は将来の芸術分野のひとつになる

2019.01.09

18歳の大人たちに、糧となるのはしっかりとした法教育

2018.12.19

物に「痛い!」と言ってもらえる!?非破壊検査技術AE法

2018.12.12

行政はなぜ必要?なくては困るが、甘えすぎも要注意!

2018.12.05

明治維新には、多くの“西郷どん”たちの必死の努力の集約がある

人気記事ランキング

1

2014.09.01

緊急提言、人口減少社会に歯止めをかける ―方策は少子化対策、社会…

2

2019.01.16

自動作曲システム「Orpheus」は将来の芸術分野のひとつになる

3

2018.05.23

衰える結婚、止まらぬ無子化 ――このままでは日本の未来が失われる

4

2017.03.29

「留学生30万人計画」が抱えている将来的課題とは

5

2017.03.15

「沖縄振興予算」という呼称が、誤解を招いている

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム