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時代や民族を超えて共有される普遍性を見出そう

中沢 新一 中沢 新一 明治大学 研究・知財戦略機構 特任教授(2021年3月退任)

ときに人生の指針となり、仕事のヒントとなり、コミュニケーションツールの一助となる「読書」。幅広い読書遍歴を誇る明治大学の教授陣が、これからの社会を担うビジネスパーソンに向けて選りすぐりの一冊をご紹介。

教授陣によるリレーコラム/40歳までに読んでおきたい本【8】

クロード・レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』(川田順造訳・中央公論新社・1977年)

本書はフランスの文化人類学者であるクロード・レヴィ=ストロースが1930年代にブラジルの少数民族を訪ねた際の体験をまとめた紀行文です。未開民族の生活や文化を記録しながら、西洋文明とは何なのか、ある社会と他の社会を比較し優劣をつけることが可能なのかという思考を巡らせ、西洋中心主義を批判したことから大変話題を呼びました。構造主義のバイブル的存在である一方、暗喩に富んだ表現や詩的な文体によって記録文学としても高く評価されています。

人間の普遍とは何かということを追求した彼の姿勢は、現代社会においても重要であると捉えます。どのような時代になっていっても普遍的なものは変わらないのです。物の考え方を漂流させないためには、そこに錨を下ろしておく必要があります。

人間の根源と言える“野生の思考”に現代人も一度立ち返ってみるのも有効です。『悲しき熱帯』に描かれている世界と日本人は遠いところにいるわけではありません。一枚めくれば縄文人ともまた変わらないのです。長く続いてきた体制が崩壊と更新の時期を迎えようとしている今こそ、本書から多くを学ぶべき点があるのではないでしょうか。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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