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「日本」を相対的に捉える視点を学ぼう

明治大学 商学部 教授 柿崎 繁

ときに人生の指針となり、仕事のヒントとなり、コミュニケーションツールの一助となる「読書」。幅広い読書遍歴を誇る明治大学の教授陣が、これからの社会を担うビジネスパーソンに向けて選りすぐりの一冊をご紹介。

教授陣によるリレーコラム/40歳までに読んでおきたい本【3】

テッサ・モーリス=スズキ『批判的想像力のために―グローバル化時代の日本―』(平凡社・2002年)

テッサ・モーリス=スズキ氏は、オーストラリア国籍の日本経済史の専門家で、日本の歴史に詳しく、非常に視野の広い方です。この本は全部が書き下ろしではなく論文集のような体裁をとっているため、その時代その時代の差し迫った問題について、彼女の目を通して答えていくような形になっています。多元的に論じられていて、非常に面白く刺激を受けました。

本書では、サンフランシスコ講和条約、日米安保条約、日米地位協定など、歴史的スパンから現在の日本を見ています。例えば、サンフランシスコ講和条約では領土問題の関係当事者である韓国も、北朝鮮も、台湾も、中国も、会議に呼ばれていませんでしたが、実際は当事者が来ないと何も決められないわけです。いま起こっている領土問題の原因がサンフランシスコ講和条約にあるということは、わかってはいたものの、改めて指摘されるとハッとさせられました。戦前・戦後を通じた長い歴史の中にいまの諸問題の根源がある。同じことを日本人が言うとイロイロとレッテルを貼られそうですが、外国人の方に相対的に広い視野で捉えてもらうのは大事なことではないでしょうか。

また、グローバリゼーションが進む陰で日本のナショナリズムが台頭してきていることを彼女は危険視しています。このような鋭い視点から日本を論じる人の本を読むことで、外から見られている日本人を振り返ることができます。厳しい批判もしていますが、全体としては日本に対する愛情や期待が感じられる本書を、ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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