明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

公的年金を「百年安心保険」というのは理由がある

政府は、公的年金制度を「百年安心保険」と喧伝してきました。それにはある理由があります。よく知られているように、日本の年金制度は、現役世代の払う保険料で、高齢者の年金を負担する構造です。現在は約2人の現役世代で、1人の高齢者を支えています。しかし、少子高齢化が進む現状では、20年後ぐらいには1.2人で1人を支えることになると考えられます。年金制度が破綻するという不安は、この少子高齢化が根拠になっていますが、実は、厚労省が決める保険料は、こうした状況がすべて織り込み済で計算されています。つまり、現在は年金を給付しても余るほどの保険料を徴収しているのです。その余剰金を運用しておき、給付金が保険料を上回るようになったときに、それを使っていくという計画です。現在、その余剰金は、なんと150兆円に達しています。なるほど、これなら日本の公的年金制度が簡単に破綻することはないでしょう。「百年安心保険」と言えるはずです。

こうした構造はあまり報道されていないので、知っている人は少ないと思います。では、この話を聞いて、皆さんは安心したでしょうか。あるいは、何かおかしいと思うでしょうか。実は、この「百年安心保険」の仕組みこそ日本の年金制度の大きな問題点だと、私は思うのです。

次回は、年金の余剰金の問題点を説明します。

#1 そもそも公的年金の仕組みってどうなっているの?
#2 年金保険料は払い損になる?
#3 日本の年金制度は破綻する?
#4 年金の資金は余っているの?
#5 年金の余剰金は増えるのに給付額は減る?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

連載コラムの関連記事

専門分野に別の角度から光をあて発見を引き出そう

2019.3.25

専門分野に別の角度から光をあて発見を引き出そう

  • 明治大学 農学部 准教授
  • 小山内 崇
#1 なぜ、定年過ぎても働かなくてはいけないの?

2019.3.22

#1 なぜ、定年過ぎても働かなくてはいけないの?

  • 明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授
  • 野田 稔
人生100年時代に向けて、視野を広げて準備しよう

2019.3.14

人生100年時代に向けて、視野を広げて準備しよう

  • 明治大学 政治経済学部 教授
  • 後藤 光将
本当に大切なものを問い直し、働く指針にしよう

2019.3.7

本当に大切なものを問い直し、働く指針にしよう

  • 明治大学 商学部 教授
  • 三和 裕美子
マルクスの視点に立って現代社会を見つめ直そう

2019.2.28

マルクスの視点に立って現代社会を見つめ直そう

  • 明治大学 情報コミュニケーション学部 教授
  • 大黒 岳彦

Meiji.netとは

新聞広告連動企画

新着記事

2019.03.20

外国人労働者受け入れ拡大の成功には教育の力が必要!!

2019.03.13

安いバイオプラスチックの登場まで、海洋汚染の限界はもつのか

2019.03.06

東京2020ボランティアに秘められたメッセージ

2019.02.27

株式投資は「愛ある金融」に変わり始めている

2019.02.20

「フェイクニュース」は「嘘ニュース」のことではない

人気記事ランキング

1

2018.05.23

衰える結婚、止まらぬ無子化 ――このままでは日本の未来が失われる

2

2018.02.28

このままでは、日本は武器輸出大国になる!!

3

2019.03.13

安いバイオプラスチックの登場まで、海洋汚染の限界はもつのか

4

2019.03.06

東京2020ボランティアに秘められたメッセージ

5

2019.03.20

外国人労働者受け入れ拡大の成功には教育の力が必要!!

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム