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#1 そもそも公的年金の仕組みってどうなっているの?

明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授(退任) 木村 哲

年金保険料の支払いと受給では用語が違うのがわかりにくい要因

日本の公的年金制度は結構複雑で、正確に理解するのは大変です。まず、年金の対象には3つの区分があります。第1号被保険者は、自営業者や、農業・漁業者、フリーターや学生など、会社勤めをしていない人たち。第2被保険者は、民間の会社員や公務員。第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者で年収130万円未満の人。専業主婦といわれるような人たちです。第1号被保険者は、国民年金の保険料を各自が個別に納付します。第2号被保険者は、給与から天引きされて納付しています。実は、年金制度がわかりにくい要因のひとつは、「社会保険料」という名目で天引きされているのに、受給するときは、「社会保険」などという年金はないことです。社会保険料とは、厚生年金保険料のことであり、厚生年金保険には、基礎年金(国民年金に相当する)と、報酬比例の老齢厚生年金の2つがセットになっています。また、基礎年金部分には、第3号被保険者の分も含んでいます。

現在、第1号被保険者は、月々約1万6千円の国民年金保険料を40年間納付すると、65才から年間約79万円の年金が受給できます。第2号被保険者の保険料は、現在は給与の18.182%ですが、半分を企業が負担するので、約9.1%が天引きされ、65才から、基礎年金(40年間の納付で年間約79万円)プラス老齢厚生年金(報酬比例なので定年までの所得によって受給額は変わる)が受給できます。第3号被保険者は、65才から基礎年金(配偶者と同額)が受給できます。これが公的年金と言われるものですが、このほかに、個人で行う確定拠出年金などの私的年金や、企業が独自に拠出する企業年金や退職金などもあります。

次回は、年金は払い損になるのかならないのかについて説明します。

#1 そもそも公的年金の仕組みってどうなっているの?
#2 年金保険料は払い損になる?
#3 日本の年金制度は破綻する?
#4 年金の資金は余っているの?
#5 年金の余剰金は増えるのに給付額は減る?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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