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2016.12.13

#4 友だち関係のつまずきから不登校になった中学生のAさんへのサポート

#4 友だち関係のつまずきから不登校になった中学生のAさんへのサポート
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世の中の気になる出来事をピックアップし、明治大学の教授陣がその専門的な視点からみなさんへのアドバイスを連載形式でお届けするトレンドウォッチ。今回は教育の現場について取り上げます。しばしば現場では、特別な支援が必要な子どもたち、特に、発達障害のある子どもたちに対して、学校・保護者・専門家がどう向き合えばいいのかが議論されます。今回は臨床心理学・教育相談が専門の、明治大学文学部、伊藤 直樹教授にお話をお伺いしました。

友だち関係のつまずきから不登校になった中学生のAさんへのサポート

Aさんは中学校2年生になったとき、友達関係のトラブルをきっかけに、朝起きるとめまいや吐き気がするようになり、学校に遅刻することが多くなりました。しばらくはがんばって登校していましたが、その後、欠席が続くようになりました。
担任は、保護者に連絡をとり、スクールカウンセラーとのカウンセリングを勧めました。スクールカウンセラーは保護者と面談し、その後、本人もカウンセリングに訪れるようになりました。その過程で、Aさんは友達関係が苦手で、特に、その場の雰囲気を読み取って振る舞うことができず、それが友達関係のトラブルに発展していることがわかってきました。中学生になり、友達関係が複雑になってきた時に、周りとの関係をうまくこなすことができなくなり、そのことが不登校という形になって表れたのです。

Aさんはカウンセリングを通じて、自分が感じている学校生活の難しさや友達との関係について振り返り、少しずつ心の中を整理していきました。さらに、スクールカウンセラーは、保護者の不安を受け止め、Aさんを見守る姿勢をサポートし、また、担任と適宜、Aさんの状況について話し合いの時間を持ちました。担任は、Aさんのクラスでの友達関係について情報を集め、クラスの中でのAさんの位置について理解を深めました。そして、学年の先生方とも相談し、学年が上がる際に、Aさんの友達関係にも配慮したクラス編成になるよう働きかけました。新年度を迎え、Aさんは4月当初こそ緊張していましたが、徐々に新しいクラスに馴れ、そのまま卒業まで登校することができました。(事例は模擬的事例です。)

次回は、学校や専門家、家庭の関わりにより、LD(学習障害)についての理解が深まり、学ぶ意欲が高まったBさんの例を紹介します。

#1 特別な支援を必要とする子どもとは?
#2 学校はどのような取組みを行っているの?
#3 専門家が加わることで、子どもはどう変わる?
#4 友だち関係のつまずきから不登校になった中学生のAさんへのサポート
#5 LDについての理解が深まり、学ぶ意欲が高まった小学生のBさん
#6 子育ての悩みや不安の解決のために

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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