2024.03.21
- 2016年11月11日
- リレーコラム
#4 ストレスを溜めないためのテクニック その3〈援助希求〉
諸富 祥彦 明治大学 文学部 教授世の中の気になる出来事をピックアップし、明治大学の教授陣がその専門的な視点からみなさんへのアドバイスを連載形式でお届けするトレンドウォッチ。今回はうつ病やストレスについて取り上げます。職場でも、家庭でも、様々な機会で特に人間関係のストレスを感じる人は多いと思います。今回は心理学やカウンセリングが専門の、明治大学文学部、諸冨 祥彦教授にお話をお伺いしました。
ストレスを溜めないためのテクニック その3〈援助希求〉
例えば、仕事をやりきることができず、周りの同僚に助けを求めることは恥ずかしいことだ、信頼を失うことだ、と多くの人が思っています。しかし、それは違います。
事態が最悪になるより、早めに助けを求めれば、自分の心が楽になるばかりでなく、周りの人たちにとっても手を貸す作業の負担が少なくて済み、結果、それで仕事が順調に進めば、長期的には、むしろ信頼を勝ち取れることになります。
これを援助希求といいます。具体的な仕事の助けを求めるだけでなく、愚痴をこぼしたり、弱音を吐くことでも構いません。そうしたことを口にするのは、心のエネルギーの回復に一番役立つのです。
援助を求められた人は、できることであれば手を貸してあげて、聞いてあげることであれば黙って聞いてあげましょう。生半可なアドバイスをするよりも、傾聴こそ最大の援助になります。こうして誰もが助けを求め合うことで、みんながストレスを溜めずにバリバリ仕事ができれば、助けを求めることは人の能力であると、新しい価値観が芽生えると思います。援助希求し合える社会は、これからの社会の目標であると考えています。
#1 現代ビジネスマンに急増する「うつ病」とは、どんな病気?
#2 ストレスをためないためのテクニック <その1場所を変える>
#3 ストレスをためないためのテクニック <その2呼吸法>
#4 ストレスをためないためのテクニック <その3援助希求>
#5 うつ病に罹っていないか、自分でチェックするポイント
#6 専門家に気軽に相談する工夫
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。