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コロナ禍をきっかけに見えてきた「ひとり空間」の新たなかたち

南後 由和 南後 由和 明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授

日本ならではの「ひとり空間」のあり方

 では、なぜ日本の都市には「ひとり空間」が多く見られるのでしょうか。

 日本は、同調圧力が強い社会と言えます。学校や職場では、集団内の同質性が求められ、ある種の相互監視の状態をつくりがちです。すると、同調圧力が息苦しくなり、そこから逃れたいという欲求も強まります。

 現代では、このことに加え、スマホやソーシャルメディアなどによって相互監視の状態がさらに強まっています。現代は、スマホなどを通して常に誰かとつながっている「常時接続社会」と言えます。

 このような「常時接続社会」のストレスから逃れ、他者との人間関係を切断したいという欲求が、現代人が「ひとり空間」を求める要因のひとつになっていると考えられます。

 つまり、人間には誰かとつながりたい「接続指向」と、ひとりになりたい「切断指向」という相矛盾する欲求が同居しているのです。

 もちろん、こうした接続と切断をめぐる欲求は、日本人特有のものではありません。しかし、日本人には、例えば欧米人と比べて、他人と視線を合わすのが苦手で、他人からどう見られているかを過剰に意識するという傾向が見られます。

 このことは、コロナ禍以前から日本の飲食店などにおいて、他人からの視線を遮るための仕切りが多用された空間が多いことと関係しています。

 カプセルホテルをはじめ、仕切りのある狭小空間がこれだけ浸透した背景には、日本固有の文化の影響もあると考えられます。日本では狭さや小ささが、必ずしも貧しさを意味しないからです。

 例えば、茶室はその典型です。日本人は、狭さや小ささに、繊細な美や精神的な広がりを見出してきました。

 狭小空間に、マットレス、テレビ、アラーム、照明などの多機能の装置が整然と詰め込まれたカプセルホテルにも、このような日本文化に見られる狭小の美学が反映されていると考えることができます。

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