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博物館や美術館には、新たな発見や不思議な出会いが満ちている

明治大学 文学部 准教授 井上 由佳

ミュージアムの魅力を広げる様々な取り組み

 しかし、ミュージアムの文化が日本に本当に広がったのかというと、決してそうとは言えません。

 自治体のつくったミュージアムの一部は来館者も少なく、箱物行政と揶揄されることもあります。

 そうした状況になっている理由のひとつは、ミュージアム側にあります。

 例えば、予算が不十分で、学芸員などの専門家を置くことができず、魅力的なミュージアムづくりができない。

 あるいは、指定管理者制度によって運営を民間に任せてしまい、しかも3~5年で業者が入れ替わることも多く、長期的な視野でミュージアムを育てていくことができない。

 こうした構造的な問題です。

 また、展示品の解説パネルなどが学術的な難しい表現で、一般の来館者にはわかりづらく、そのため読まなくなるということもあります。

 すると、歴史的価値の高い貴重な展示品なども、その価値や意味が伝わらず、来館者にとってはどれも同じに見え、ミュージアムは楽しくない、面白くないということになります。

 そこで最近は、来館者目線で、わかりやすく楽しい解説を書くという取り組みを行っているミュージアムもあります。

 また、学芸員に加えてボランティアがギャラリートークを行うなどのサポート体制をとっているところもあります。

 つまり、展示と来館者を繋ぐコミュニケーションを充実させる取り組みです。

 展示品のどこを見れば良いのか、目のつけどころがわかることによって、驚きや面白さが生まれ、ミュージアムに対する興味や楽しさが膨らむと思います。

 さらに、小中学校の先生たちを招いて展示会の内容や学校教科との接点を紹介し、授業での活かし方などを考えてもらう取り組みを行っているミュージアムもあります。

 先生から事前の知識を得ることができた生徒たちは、校外学習などでミュージアムを訪れると、漫然と見学するのではなく、展示品から日本の歴史や科学、美術や技術、文化を発見し、ミュージアムを一層楽しめるようになると思います。

 また、ビジネスマン向けに、昼休みの時間にギャラリートークを行っているミュージアムもあります。

 例えば、海外のトップビジネスリーダーたちは、教養としてアートの素養がある人が多いのです。

 そういった意味では、こうした取り組みは、日本のビジネスマンたちにとって貴重な体験になるのではないでしょうか。

 しかし、こうした取り組みに力を入れているミュージアムは、実際は一部です。やはり、多くのミュージアムは予算やマンパワーの問題もあり、新たな取り組みを行うのは難しいのが現状です。

 でも、そういったミュージアムでも様々な努力をして、独自のコレクションでレベルの高い展示を行っている館は少なくありません。

 海外では、大企業が資金援助をしたり、日本で言うところの宝くじ基金を文化や芸術に積極的に還元する仕組みがあります。

 日本でも、もっと積極的にそうした仕組みを取り入れることも必要なのではないかと思います。

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