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2018.11.21

あなたが住む家は、あなたを地震から守ってくれますか

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低層住宅の耐震性は構造の形式によって異なる

 一方、40cmの変形でも致命傷になる低層の住宅は、強度で地震動に抵抗し、変形を防ぐことが効果的です。ところが、いわゆる木造の在来工法は柱と梁が中心で、その間に壁を入れるという構造ですが、それでは強度が十分にとれず、大地震動に対して許容される変形に留めるのは容易ではありません。今年の9月に起きた北海道胆振東部地震でも、潰れた住宅のほとんどは木造在来工法によるものでした。

 では、住宅を強くするにはどうすれば良いか。一例としては、柱ではなく、壁そのもので建物を造ることです。口を閉じた段ボール箱を想像してもらえば、それは縦からの力にも、横からの力にも強いことがわかると思います。これは壁式構造という工法で、木造のツーバイフォー工法や、パネル工法も同じ原理です。

 実は、戦後、耐震・耐火構造の大量供給の必要もあり、我が国のほとんどの集合住宅は鉄筋コンクリート造の壁式構造で建てられました。しかし、開口部や窓が小さくなることなどから、近年では人気が落ち、壁式構造は減少しつつあります。

 また、木造在来の工法でも、壁に筋かいを入れたり、基礎を鉄筋コンクリート造の布基礎にするなどの補強により、住宅を強くすることができるようになってきました。

 もし、ご自宅が、木造在来工法でそうした耐震補強がなされていないのであれば、早めに補強工事を行うことをお勧めします。

 なお、強度で抵抗する低層の建物は、いわば、地震動と力の勝負をしており、いままで勝っていたとしても、それは紙一重だったのかもしれません。住宅の耐震力を高めておくことは、ご自身はもちろん、子孫に家を引き継ぐのであれば、子どもたちの命を守ることにもなるのです。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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