
2023.03.23
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
インターネットの発達は、私たちの購買行動にも変化をもたらしていますが、最近、インターネット通販と実店舗のメリットを融合させ、顧客に対して、よりレベルの高いサービスを提供するオムニチャネル化が注目されています。その仕組みを支えているのは、私たちからは見えにくい物流システムの発達にあるようです。
インターネット通販は、ここ15年ほどで急成長しました。そのメリットは、自分の好きな時間にどこからでも注文ができること、居ながらにしてさまざまな会社の商品を見比べられること、また、遠隔地で売られている商品でも手軽に購入できること、などが挙げられます。その反面、届いた商品のサイズが合わなかった、色や質感が画面で見た感じと違っていた、商品の注文を間違えた、などの問題が生じることもあります。従来のような、実店舗での購入では、商品そのものを手に取ったり試着したりすることができ、そのような問題やトラブルの可能性は少ないでしょう。そこで最近注目されてきたのが、インターネット通販と小売店を通じた流通を融合させる、オムニチャネル化です。
オムニチャネル化とは、単に購入ルートのマルチ化という意味ではありません。インターネット通販と従来からの店舗での販売という、2つの商品の流れの道筋を、消費者が自ら使いやすいように自由に行ったり来たりできる流通のシステムのことです。例えば、インターネット通販で気に入った服を見つけた場合、今までは、表示の色やサイズを指定して注文し、その配送を待つだけでしたが、そのサイトから商品の色違いやサイズ違いを希望する店舗に用意してもらうオーダーを出し、指定した日時にその店舗に行き、実物を見て試着し、購入する一着を決め、持って帰るのが荷物になる場合は、家に届ける手配をすることもできる。こうした流通システムがオムニチャネルです。つまり、インターネットと実店舗を使い分けるだけでなく、それぞれのメリットを取り出し、自由に融合して使うことができるわけです。現在、大手流通業や専門店チェーンなどでこうしたオムニチャネルの導入が始まっています。このオムニチャネル化実現のためには、物流・ロジスティクスの発展が不可欠となります。