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城田 慎一郎 城田 慎一郎 明治大学 商学部 専任講師

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ビッグデータが注目されるようになって久しいですが、実は、その利活用が本格化するのはこれからだと言います。その背景には機械学習によるAIの進歩などがあります。一方で、私たち生活者は、その利便性を享受するだけでなく、リテラシーを身につけていくことが重要だと言います。

事業者が期待する需要予測と動的価格設定

城田 慎一郎 ビッグデータの利活用は、これから、様々な分野で進むと思います。それによって私たちの生活の利便性はさらに向上するでしょう。

 一方で、そこで使われている仕組みを知り、利用の仕方を考えたり、議論することが必要です。

 ECサイトなどでは、顧客データを収集し、それを基に、顧客に個別のおすすめ表示を行うリコメンデーション・システムがすでに実用化されていますが、もっと大きな枠組みでビッグデータやAIを活用する取り組みもあります。例えば、需要予測やそれを基にした動的価格設定などです。

 需要予測については、すでにアパレル業界では導入が進んでいるようです。

 例えばある大手企業では、消費者の動向や景気、気候など、要因となる様々なデータを取り入れて大枠の需要予測を立て、それを基に生地を生産するのです。生地を確保しておけば、個別の製品の需要に素早く対応することができるわけです。

 つまり、AIによる製品個別の需要予測はまだ難しいのが現状ですが、それに対応しやすいシステムが、アパレル業界では構築されてきているのです。

 また、需要予測の精緻さが高まると、より効果的な動的価格設定が可能になると期待されています。

 例えば、現在でも、旅行業界の航空運賃や宿泊料金などは、繁忙期には割高、閑散期には低価格になりますが、これには顧客データや蓄積された過去のデータに基づいたAIによる需要予測が行われています。

 ただし、競合が激しい業界だと、割高な設定は顧客離れにつながる恐れもあり、こうしたシステムを導入することは難しいかもしれません。それに比べ、ECサイトなどは大手が数社に絞られている場合、導入は比較的容易な状況です。

 しかし、価格が割安のときに購入したい顧客は、価格の変動を日頃から常にチェックしていなければならなくなります。また、購入したあとで、その商品の価格がさらに下がっていることを知った場合は、不満を覚えるかもしれません。

 そうしたストレスが顧客満足度を下げ、顧客離れに繋がる可能性もあります。事業者としては、その判断は難しいでしょう。

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