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2015.11.30

オムニチャネル化でさらに快適になるショッピングライフ

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マーケティングとロジスティクスの融合

 今日の流通において重要な役目を果たす、マーケティングとロジスティクスとは、研究分野としては共通の起源です。どちらかと言うと、先に発達してきたのがマーケティングです。マーケティングとは、独自性があり革新的でユニークな商品を開発し、その商品の良さや特徴などを広告で強調し、販売へとつなげるための活動です。やがてメーカーなど、各企業の広告展開やマーケティング業務を支援する役目を果たす、広告代理店が発達します。広告代理店には優秀なマーケッターやクリエイターが集まり、企業の広告制作にとどまらず、商品開発のアドバイスなども行う立場へと発展していきます。

 その後、技術水準の平準化や市場の飽和が進み、市場が成熟化するにつれて、各企業が独自の特徴を強調することで、他社商品との差別化を図ることが難しくなってきました。また消費者の嗜好も個性化していったことから、商品の特徴による競争も限界に近付いていきます。代わって大きな役割を担うようになってきたのが、購入の利便性です。日本の消費者にとって商品の質が良いのは当たり前で、それをストレスなく、快適に、しかも楽しく購入できるサービスの提供が求められるようになってきたのです。

 1980年代から広まったPOSシステム等が在庫管理や受発注の業務にも活かされるようになり、各店舗へのきめ細かな配送システムが発達しました。また、インターネット通販の拡大にともなって配送センターの機能と物流の仕組みも大きく進化しました。宅配便などの個別配送の発展も顕著です。まさにオムニチャネル化は、必然的な流れだといえます。

 広告代理店が、各企業のマーケティング戦略の展開を支援してきたように、物流面での顧客サービスの向上による、それぞれの企業の競争力の強化を支えているのが、1980年代以降、大きく発展し、ノウハウを蓄積してきた物流会社です。今日、物流会社は、配送業務や在庫保管などの単なる物流サービスの提供にとどまらず、メーカーや小売業などの各企業が競争力の武器にする形で、物流システムやロジスティクス戦略を、どのようにビジネスの中に組み込んでいくかを提案できる、企業のパートナー的存在へと成長しています。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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