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「フェイクニュース」は「嘘ニュース」のことではない

大黒 岳彦 大黒 岳彦 明治大学 情報コミュニケーション学部 教授

インターネットの世界ではすべての価値が相対化される

 では、インターネット上における情報のニュースバリューとはどこにあるのか。それは、端的に言えば、「数」です。例えば、「いいね」の数であったり、PVの数です。数が正当化の根拠になっています。

 その背景には、発言できるのは知識と教養のある人に限られていたマスメディアの時代に対し、インターネットの現代は、誰でもなんでも発言できるようになったことがあります。それは、意見の発表という観点からいえば、民主化です。

 例えば、インターネットの初期には、ネット社会は万人が意見を発信でき、世界のすべての人が繋がるという未来像が描かれました。しかし、現実には、玉石混淆の情報が氾濫する中で、人は自分と似た意見の周辺に閉じこもるようになっています。

 そこは、極めて排他的なたこつぼ社会で、そこでは、マスメディア時代の「正しさ」は重要ではありません。

 さらに、誰もが対等に発言できる世界では、すべての価値が相対化されます。例えば、アインシュタインの相対性理論を理解するには長期の研鑽が必要で、そこに達する者は少数です。その少数が権威をもつのがアカデミズムです。

 しかし、そんな研究者の意見も、小学生の意見も、SNS上ではひとつの意見としては対等です。SNS上では、すべてが相対化され権威が無化されるのです。むしろ、小学生の意見に「いいね」が多いかもしれません。理解しやすいのですから。これも民主化の一面といえるでしょう。

 しかし、当然、相対性理論の価値は「いいね」の数で評価されるものではありません。現代の様々な技術を成り立たせている基盤になっているのが、相対性理論や量子力学です。

 これを理解する少数の権威やヒエラルキーを、つまりはアカデミズムをフラットにする世界で、はたして科学の発展が期待できるのか、疑問です。

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