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手書き文字の味を活かした、きれいな自分だけの文字ができる

中村 聡史 中村 聡史 明治大学 総合数理学部 教授

手書きの価値を見直し、再定義するべき

 実は、この融合文字のシステムを開発した理由はもうひとつあります。コンピュータで手軽に文書が作成できるようになったにも関わらず、履歴書を書くときに、手書きが求められることは珍しくありません。手書き文字には、文字の味や個性は出るため、手紙としてもらうとうれしいものですが、その手書き文字で書いたひとの本当の性格や能力までわかるわけではありません。また、履歴書は間違いの許されない書類なのですから、書き損じをしたり、悪筆だと読み間違えをしたりする可能性もある手書きにすることは、むしろ逆効果です。ただ、もし履歴書は手書きが「常識」というのであれば、平均手書きノートの仕組みを利用してソフトウェア的に手書きをきれいにし、ドローイングロボットによってハードウェア的に手書きを再現できるようにしてしまえばよいと考えています。ドローイングロボットによりひとの手書きをきれいにしつつ再現できるようになると、手書きとは何なのか、そして手書きの価値はどこにあるのかといったことを議論できるようになり、そこから手書きの価値を再定義することにつながると考えています。実際、つい先日クレジットカードの大手4社が、今年の4月から、カード決済において手書きのサインでの個人認証をやめるという決断をしたことがニュースになりました。つまり、個人を証明する仕組みとして、手書きのサインは適さないということです。こうしたシステムが構築されていく社会では、クレジットカードを使用するときには手書きのサインをするという「常識」も、もはや常識ではないのです。手書きの価値はもっと別なところにあると考えています。

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