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移民を引き寄せるアメリカの魅力が、日本にはあるか

明治大学 政治経済学部 専任講師 下斗米 秀之

移民国家アメリカに日本が学ぶこと

下斗米 秀之 逆になぜ、人は規制や摩擦があってもアメリカに移民しようとするのか。それは、それだけの魅力がアメリカにはあるからです。

 18、19世紀の移民労働者にとっては、自分の土地を持ち、独立自営農民になれる夢がありました。それだけでなく賃金水準も高かったのです。ヨーロッパでは考えられないほどに、自分の力で成り上がり、社会的な地位を上昇させるチャンスがありました。

 また現代でも、アメリカの賃金は相対的に高いです。例えば、ヒスパニック系移民にとっては、アメリカで得られる賃金は、自国と比べても5倍や10倍も高いことがあります。それは、インド出身の高技能労働者にとっても同じです。

 グローバル資本主義経済においてこうした魅力が人を惹きつけ、人の移動を促進するのは当然です。

 翻って、日本はどうでしょう。少子高齢化が進み、総人口はもちろん、生産年齢人口が急激に減少している日本もまた、外国人労働者なしには成り立ちません。これまでも日系三世や技能実習制度を利用した外国人労働者が労働力不足を穴埋めしてきました。新しい在留資格「特定技能」も新設されましたが、まだまだ利用者は少なく、機能しているとは言い難いです。コンビニや居酒屋を見ればわかるように、いまは日本にもアジアを中心に外国人労働者がやって来ている状況ですが、果たして、この状況は続くでしょうか。

 中国はもちろんのこと、経済成長が続く東南アジア各国の賃金は上昇し続けています。それを上回る賃金をこれからも日本は出すことができるのでしょうか。また、日本社会で移民たちが成り上がっていくことはできるのでしょうか。

 言葉の壁もあります。英語に比べて日本語ははるかにハードルが高いのです。中長期的にみて、日本への移住労働のメリットや魅力は相対的に下がると言わざるを得ません。

 もちろん、アメリカの移民政策にも多くの問題はあります。しかし、移民労働者にとって様々な摩擦や軋轢がありながらも、人を惹きつけ続けてきたアメリカの移民の歴史を見れば、日本もそうした魅力をもつ必要があるのではないでしょうか。

 そのためには、外国人労働者を迎え入れる政策の充実はもちろんのこと、日本語教育や事前研修など、労働者の能力開発も重要になります。私たち自身も日本や外国の文化や歴史に対する知識を深め、共生社会をつくっていく必要があります。治安の良さはもともと世界トップクラスですから、日本の魅力を広く世界に発信することが求められるでしょう。

 いま、アメリカをはじめ世界各国で保護主義や自国第一主義が台頭しています。コロナ・ショック後、さらに加速するかもしれません。しかし世界から孤立することが不幸をもたらすことを、やはり歴史が物語っています。発展する国には、世界中から人が集まり、それを受け入れる寛容さがあると思います。

 逆に、移民労働者に不寛容で、摩擦や軋轢を生む一番の原因は、人々の無知だと思います。感情論に流されることなく、客観的な事実に基づいた建設的な政策を創り出していく必要があるのです。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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