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歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

林 ひふみ 林 ひふみ 明治大学 理工学部 教授

台湾を分断する本省人と外省人

 台湾から日本人がいなくなった頃、中国では、国民政府軍と中国共産党との内戦が続いていました。

 この内戦に勝利した毛沢東が、1949年に中華人民共和国を建国すると、敗れた蒋介石は台湾に逃げ込みます。

 ただし、彼は中国の正統な統治者は自分たちであり、台北は臨時首都で、いずれは中国本土に戻ると主張しました。

 台湾にいた中国系の人たちは、日本の統治から解放され、同じ民族の蒋介石たちを歓迎したのかと言えば、ことはそう簡単ではありませんでした。

 まず、言葉が通じなかったのです。半世紀に及んだ日本の同化政策により、台湾の人たちが読み書きするのは日本語だったからです。

 そのため、互いを同胞と見なすことができず、新たに来た人たちを「外省人」、もともと台湾にいた人たちを「本省人」と呼び合い、分断するようになったのです。

 国民党は、日本語を禁止し、戒厳令を敷いて力で押さえつけようとします。実は、この状態が1949年から38年間続きます。

 近年、当時の様子がポツリポツリと出てきています。例えば、日本語で暮らしていた世代はなかなか中国語に馴染めず、中国語の教育を受けるようになった自分の子どもたちと会話ができず、世界観もまったく違うため、親子間で理解し合うことが難しくなったこと。

 支配層になった外省人も、日本人が使っていた住居や施設を接収して利用したのは国民党の一部のエリート層だけで、下層の兵隊たちは住む場所もなかったこと。

 本省人に混ざることもできない彼らは、そのため、日本人の共同墓地だったところにバラック小屋を建てて住んだのです。

 その後、外省人の兵隊だった人たちが先住民の女性と結婚するようになったり、戦後、三代目、四代目の世代にもなり、分断の意識は希薄になったように見えます。

 しかし、それでも、台湾社会の根底にはこの分断が息づき続けていることが、選挙などには如実に表れるのです。

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