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東京2020ボランティアに秘められたメッセージ

後藤 光将 後藤 光将 明治大学 政治経済学部 教授

オリンピック・パラリンピック開催の意義をあらためて考える

 一方で、そこまでしてオリンピック・パラリンピックを招致する必要があるのかという意見もあります。確かに、招致には相当の経費がかかりますし、開催となれば、さらにお金がかかります。

 しかし、そこに費やされる経費は、消費されるだけではありません。1964年の東京オリンピックがそうであったように、そこで整備された都市インフラは長く私たちの財産となります。

 成熟都市となったいまの東京では、当時ほどの大規模なインフラ整備はありませんが、国立競技場を含めた競技場の整備などは多く、それは成熟都市に暮らす人々の生活をより豊かにするインフラとなっていくことは間違いないと思います。

 また、世界中の人々が東京に目を向け、訪れ、交流するということにも大きな意義があります。対立とは、それが国家間であれ、個人間であり、互いをよく知らないということから始まるからです。知り合うことで対立が解消されたり、話し合えるようになることは多く、そのためには交流が第一歩となります。

 例えば、幻に終わった1940年の東京オリンピックが開催されていたら、世界が日本をもっと知る機会になり、日本も世界をもっと知る機会になっていたはずです。すると、当時の日米間の交渉はもっと長く行われたり、違った形になったと思います。少なくとも、翌年の日本海軍による真珠湾攻撃はなかったのではないかと思うのです。

 また、近年ではオリンピック・パラリンピックはメガイベントになり、大都市や、過去に開催した都市がそのときの施設を再利用するようなことでなければ、行うことができないイベントになっているという指摘があります。確かに、その傾向があります。

 そこで、IOCは、2010年からユースオリンピックを開催しています。ユース世代(14~18歳)による、オリンピックの規模を縮小したような大会です。

 ユースオリンピックは、オリンピック本来の理念に沿った形で行われるという特徴があります。例えば、自分が出場する競技が終われば帰国する者もいるオリンピックと違い、参加アスリートは開会式から閉会式まで全員揃っていなくてはいけません。

 期間中、若いアスリートたちは競技だけでなく、各国のアスリートと文化交流プログラムを行ったり、文化、平和、環境問題などをテーマとしたディスカッションに参加したり、アクティビティーを行いながら国際交流を深め、様々なことを学ぶのです。ユース世代がこうした体験を通してオリンピアンに成長していけるようにと、IOCは考えています。

 このユースオリンピックは、2010年シンガポール、2014年南京、2018年ブエノスアイレスで開催され、2022年はダカール(セネガル)の予定です。オリンピック・パラリンピックを開催できる規模ではない都市でも、ユース世代による、オリンピック本来の理念に沿った大会を開催する意義は、とても大きいと思います。

 また、オリンピック・パラリンピック開催都市は、開催までの4年間、文化プログラムを行うことがオリンピック憲章によって定められています。

 大きく報道されることがないのであまり知られていないようですが、いま日本でも、演劇をはじめ多種多様なアーティストが参加してパフォーマンスを繰り広げる「東京キャラバン」や、一般の人も積極的に企画し参加して、様々な文化イベントや地域支援活動などを行う「東京2020参画プログラム」などが行われています。

 一般の市民の皆さんが、こうした活動に参加して楽しんだり、行動を起こすきっかけに東京2020がなれば、それも開催の大きな意義になると思います。

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